オルフェノクの使い魔8
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イトの言葉に同じ返答を続けた。
「今、なすべきこと、望むことを考えろ。そうすれば、身体は自然と正しいと思うほうへ進んでいく」
「それも恩師が言っていたの?」
「ああ」
「さっき、ワルドに明日、結婚しようって言われたわ」
「俺が口出すことじゃない。おまえの問題だ」
この使い魔は優しくない。そう、ルイズは思った。なんと言って欲しかったのかは、わからない。だが、そう思えてならなかった。
月が照らす部屋の中で、サイトはルイズの頭を撫で、ルイズは撫でられるまま目を閉じた。その少し後には、穏やかな寝息へと変わった。
(私のやるべきこと……それは、何? ワルドとの結婚? それとも…)
――――――――――――――――――――――――
翌朝、意識が覚醒したとき、自分の姿を見たルイズは戸惑った。
何故、自分は純白のマントを身につけているのだろう?
何故、自分は新婦の冠を頭に載せているのだろう?
サイズが合っていないため、少し頭を動かしただけでもずれてしまいそうな冠を意識しつつ、ここまでの行動を振り返った。
朝、どうやって帰ったか分からないが、自分の部屋で寝ているところをワルドに起こされ、覚醒しきる前にこの衣装を着せられ、今、ワルドに手を引かれて大きな扉の前に立っている。
扉が開き、始祖ブリミル像のある礼拝堂へとワルドに手を引かれて入っていった。
決戦直前だけあって像の前に立ったウェールズ以外、誰も居ない。サイトもこなかったようだ。
(そういえば、今日はまだサイトに会ってない…)
ウェールズの前で、ルイズと並び、ワルドは一礼した。
「では、式を始める。
新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか?」
ワルドは重々しくうなずき、杖を握った左手を胸の前に置いた。
「誓います」
ウェールズはにこりと笑って頷き、今度はルイズに視線を移した。
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・バリエール……」
朗々と、ウェールズが誓いのためのミコトノリを読み上げる。
ルイズは、混乱していた。
ワルドは、自分が小さい頃から憧れていた相手であり、その小さい頃からずっと思い描いていた未来が今、現実のものになろうとしている。
だが、何故か嬉しくない。
ただ、ただ苦しい。
そうなると思っていた未来が苦しい。
ふと、サイトのことが頭の中に浮かんだ。
優しくなくて、口が達者で、強く、御主人様を敬わない大胆不敵な使い魔。
でも、冷たくない。
どんなときでも大事なことだけは、言わずとも悟ってくれる。
宿でつらくあたったのに、昨日の夜は、頭を撫で
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