オルフェノクの使い魔8
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もう一度会うためと思えば生きられる気がするのだ」
「俺でなくても、おまえを慕ってくれているやつはいるだろう」
「ああ、だが、彼らはウェールズ皇太子を慕ってくれているのだ。だから、ただの男、ウェールズの友となって欲しい」
「俺は人間じゃない」
そういうとサイトはミズチオルフェノクに、しかも、飛龍形態へと変化した。
「これが俺だ」
「……」
ウェールズは、しばらく呆然とミズチオルフェノクを見ていたが、彼の瞳に少年のような輝きが宿った。
「かっこいいじゃないか!」
「……」
ミズチオルフェノクはサイトへと戻り、じっとウェールズを見つめた。
「恋愛ゲームの次は、友情ゲームか?」
「そんなつもりはない。私は、本気だ」
ウェールズの瞳に揺らぎはない。
「俺は友達をもったことがない」
「私もだ」
「友だちとはどういったものか知りたくなった」
「私も興味がある」
サイトの差し出した手をウェールズは両手できつく掴んだ。
「平賀サイトだ。よろしく」
「ウェールズだ。よろしく…」
どちらともなく、笑い、しばらくの間、宝物庫内で笑い声が木霊した。
「そうだ、サイト! 私と友になった証に何か贈ろう!」
そう言って周囲を見回すウェールズにつられて、サイトも周囲を見回したとき、ふと、あるものに気がついた。
(ッ!? なんでこれまで、こんなところにある!)
思わず、それをつかんだ。
ウェールズは、サイトが手にしたものが気になり、覗き込んだ。
「それは私が、この部屋を見つけたときからあったものだ。使い方がまったく分からなかったが、面白そうなので見やすい場所に飾っていたのだが、なんなのだ?」
「人間を狂わせ、見入らせる。魔性のアイテムだ。俺の同族しか使えない」
ウェールズの問いに応えつつ、色々な角度からそれを眺めるサイトを見つめ、ウェールズが言った。
「よし、それを友の証にきみに贈ろう」
「だが、俺に贈れるものなんて……」
そう言ってサイトはポケットをあさるが、何も出てこない。何かないか服を撫でまわして気がついた。
いいものがあったと。
襟元につけていたスマートブレインの社章を外した。
「これは、俺が少し前まで所属していた組織の証だ。純銀でできているそうだ。こんなものしかないんだが、受け取ってくれると嬉しい」
「いや、どんな宝よりも嬉しい」
「そう言ってもらえると助かる」
二人は笑いあった。
「…サイト」
「ん?」
ひとしきり笑い合った後、ウェールズはまじめな顔になった。
「私は生きる。名や誇りよりも大切なものを、友を手に入れた。もう一度、友に会うため、私は
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