オルフェノクの使い魔7
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しくウェールズに近づいたが、途中で立ち止まり、何かを言おうとするが、すぐ声が出ない。目の前にいるウェールズは本物なのだろうか? 聞きたいところだが、もし、本物なら、それはあまりにも無礼な行いだ。そのため、ルイズは、声を出せないでいた。
その様子で何が言いたいのか悟ったウェールズは、笑った。
「さっきまでの顔を見れば、無理もない。証拠をお見せしよう」
ウェールズは、自分の薬指にしていた指輪を外すと、ルイズの手を取り、水のルビーに近づけた。二つの指輪に埋め込まれた宝石が共鳴しあい、虹色の光を放った。
「この指輪は、アルビオン王家に伝わる風のルビーだ。きみのもつのは水のルビーだね?」
ルイズは頷いた。
「水と風は、虹を作る。王家の間にかかる虹さ」
「大変、失礼をばいたしました」
ルイズは一礼して、ウェールズに手紙を渡した。
ウェールズは、愛しそうに手紙を見つめると、花押に接吻した。それから、慎重に封を開き、中の便箋を取り出し、読み始めた。
アンリエッタが結婚することを知り、ショックをうけたようだが、最後の一行まで読むと微笑んだ。
「了解した。姫は、あの手紙を返して欲しいとこの私に告げている。何より大切な、姫からもらった手紙だが、姫の望みは私の望みだ。そのようにしよう。
しかしながら、今、手元にはない。多少、面倒だが、ニューカッスルまで足労願いたい」
―――――――――――――――――――
途中、敵軍の戦艦をやり過ごし、イーグル号は隠し口からニューカッスルの城へもどった。
今、ルイズたちは、ウェールズの部屋へとやってきた。だが、その部屋はとても王子様の御部屋という感じがまったくなかった。粗末なベッドとイスとテーブルが一組あるだけで、あとは壁に戦況が記されているタペストリーが飾られているだけだった。
ウェールズはテーブルから宝石が散りばめられた小箱を取り出した。鍵で小箱を開けると、蓋の内側には、アンリエッタの肖像が描かれていた。
ルイズたちが小箱を覗き込んでいることに気づいたウェールズは、はにかんで言った。
「宝箱でね」
中には一通の手紙が入っていた。それを取り出し、愛しそうに口づけしてから、ゆっくりと読み始めた。既に何度も読んでいるらしく、手紙はボロボロだった。
読み返すと丁寧にたたみ、ルイズに手渡した。
「これが姫から頂いた手紙だ。確かに返却したぞ」
「ありがとうございます」
ルイズは深々と頭を下げると、その手紙を受け取った。ルイズはじっとその手紙を見つめていたが、そのうち決心したように口を開いた。
「あの、殿下……さきほど、港にて栄光ある敗北とおっしゃっていましたが、王軍に勝ち目はないのですか?」
隠しドックでウェールズが言っていたことを
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