オルフェノクの使い魔6
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そんなバカなことやめて。今は、そんなことしているときじゃないでしょう? ほら、あんたもやめなさい。これは命令よ!」
「俺はやりたくないって言っているだけどさ、おまえの婚約者がやるって言って聞かないんだよ」
サイトはトライデントを構えた。
「介添え人もきたし、さっさと始めるぞ」
「いいだろう。全力で来い」
サイトの左手の甲のルーンが輝き、一瞬で間合いを詰め、トライデントを突き出す。ワルドはそれを杖で受け流し、フェンシングのように構えたかと思うと、凄まじい速さの突きを繰り出してくる。サイトは突きの中で急所を狙ったものだけをさばき、残りは後方に跳んで威力を殺ぐ。
「魔法はどうした?」
(フム、ガンダールヴの力だけでここまで動けるのか)
サイトはトライデントを地面に突き立て、棒高跳びの要領でワルドを飛び越える。が、ワルドは素早くそれに反応して突きのラッシュを放ってくる。
「君は確かに素晴らしい素質があるようだ。さすがは、伝説の使い魔だ。だが、それでは本当のメイジには勝てない」
(予想以上に強いな。勝つつもりでやったら殺すしかないかもしれない)
「デル・イル・ソル・ラ・ウィンデ…」
ワルドが詠唱を始めたことに反応し、サイトは即座に周囲を漂う空気中の水分を掌握する。
(地面からは何も感じない。熱もない。掌握した水に干渉もされない。空気が動く? こいつ、『風』の魔法使いか!)
掌握した水から送られてくる情報を元に衝撃が来ると予測する方向に目視できないほど薄い水の障壁を作る。
その一瞬あとに空気が撥ね、見えない巨大な空気のハンマーが放たれ、薄い障壁を突き破り、横殴りにサイトを吹き飛ばした。十メイル以上も吹き飛ばされ、サイトは積み上げられた樽に激突した。
(壁はって逃げなかったら、人間体のままじゃ助からなかったぞ)
樽の瓦礫から出てきたサイトにワルドは杖を突きつけた。
「勝負あり、だ」
ワルドは杖を収めるとサイトの肩を叩いた。
(ッ!?!?!?!)
「なかなか楽しめたよ。人間を超えた存在とうそぶいているようだが。それに姿が変わると聞いていたが、それもハッタリだったようだな。わかっただろうルイズ。彼では君を守れない」
「……だって、あなたはあの魔法衛士隊の隊長よ。強くて当たり前じゃないの!」
「そうだよ。でも、アルビオンに行っても敵を選ぶつもりかい? 強力な敵に囲まれたとき、きみはこういうつもりかい? 私たちは弱いです。だから、杖を収めてくださいって」
黙ってしまったルイズをうながし、ワルドは去っていった。
そして、二人の姿が見えなくなって数分したとき、我慢の限界がやってきた。
「オエエ!! ゲェェ!!!」
物凄い勢いで嘔吐した。
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