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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔5
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でカイザギアをとりにいけなかった…)

ちらりと横を見るとすでに何時間も休みなしで進んでいるため、グロッキーになったギーシュがなんとか馬に跨っているという状態で走っていた。
準備不足が作戦にどれだけ影響を与えるか、そして大部隊ならまだしも、小隊で隊員の事を考えているとは言いがたいワルドの行動にサイトは不安を覚えた。
準備は作戦の成否を握る大事なカギである。実際、サイトは準備不足が故の痛い思い出がある。
それに今のギーシュは戦闘に入ったとしても足手まといになるであろうことは容易に想像がつくにも関わらず、ワルドは休もうとする気配がない。進言したくともサイトの馬ではワルドに追いつくことができないし、さきほど、何度も呼びかけたが、聞こえていないらしくまったく反応してくれなかった。

(準備不足での出発、隊員の状態も考えない先行…あいつは本当に隊長をやっているのか?)


―――――――――――――――――――――――


馬を何度も替え(この間、ワルドに進言しようとしたが、手続きをやっている間にさっさと進まれたためできなかった)、飛ばしてきたため、サイトたちはその日の夜中にラ・ロシェールの入り口についた。

(ここが本に載っていた空飛ぶ船の港、ラ・ロシェールか)

月夜に浮かぶ、険しい岩山を縫うようにして進むと、峡谷に挟まれるようにしてラ・ロシェールの街が見えた。

「早く、宿を見つけて休みたいよ」

ようやく街にたどり着き、一息つけるという安心感からかほぼゼロに近い体力を振り絞ってギーシュは馬の手綱を握りなおした。
そのとき、不意に、サイトたちの跨った馬めがけて、崖の上から松明が何本もなげられた。
サイトはすぐさまトライデントを生み出し、自分に向かってくる松明をすべて叩き落しつつ、驚いて暴れる馬をなだめる。
「うわッ」という叫び声と何かが落ちた音がした、既に体力の限界を向かえているギーシュに暴れる馬をなだめつつ、松明を避けることなどできず、振り落とされてしまったようだ。
松明の奇襲が終わると続いて何本もの矢が飛んでくる。
ルイズの方を確認すると、ワルドがちゃんと守ってくれているようだ。
サイトはギーシュを馬に引きずりあげ、トライデントで矢を叩き落す。

「ギーシュ、振り落とされるなよ」

「わ、わかった!!」

片手で手綱を操り、ワルドの側へ向かう。かたまるのは危険だが、孤立して全方位から攻撃されるより、背中を預ける相手がいたほうが安全と判断したのだ。

(オヒメサマの言っていた連中か? それにしても早すぎる。命を受けてまだ一日だぞ。オヒメサマのあの様子から事前に誰かにいっていたとは考えられない……どうなっているんだ?)

そのとき、ばさばさと聞き覚えのある羽音が聞こえた。

「これは…
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