オルフェノクの使い魔3
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者は、杖を掲げよ」
しかし、だれも杖を挙げようとしない。だれもがフーケの名に恐れを抱いているのだろう。
そんな中、一本の杖が掲げられた。ルイズの杖だ。
「ミス・ヴァリエール! 何をしているのです! あなたは生徒ではありませんか! ここは教師に任せて…」
「誰も掲げないじゃないですか」
止めようとするシュヴァルーズに向かって、はっきりと言い放ったルイズの姿を見てサイトの口元に笑みが浮かんだ。面白い展開だと。
ルイズを見てしぶしぶとキュルケも杖を掲げた。
「ふん。ヴァリエールには負けられないわ」
続いてタバサも杖を掲げた。
「心配」
3人に向かって教師たちが必死に止めようと騒ぐ。しかし、それもオスマンの一喝で静まった。
「君たちに任せるとしよう」
「私は反対ですぞ! オールド・オスマン!!」
「彼女たちは、敵を見ている。その上、ミス・タバサは若くしてシュバリエの称号を持つ騎士だと聞いておるし、ミス・ツェルプストーは、ゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した家計の出で、彼女自身の炎の魔法も、かなり強力だと聞く」
教師たちの視線がタバサに集まるが、とうの本人はぽけっと立っているだけ、キュルケは得意げに髪をかきあげた。
さぁ、次は自分だとルイズは可愛らしく胸を張った。ここに来て、オスマンは焦った。彼女のどこを誉めればよいのかまったく思いつかない。っとそのとき、ルイズの隣りに立ったサイトの姿が目に入った。
(これじゃ!!)
「オホン…ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール公爵家の息女であり、その…将来有望なメイジと聞く。そして、その使い魔は、ワシの見解では水のスクウェアクラスにもとどくほどの実力を持っておるであろう」
ルイズやキュルケ、そして教師たちの視線が自分に集中するのを感じながら小さくため息をついた。
「この3人に勝てるというものがいるのなら、前に一歩でたまえ」
誰もいなかった。オスマンはサイトを含む四人のほうを向き直った。
「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する」
ルイズとキュルケとタバサは真顔になって直立すると「杖にかけて」と同時に唱和した。それからスカートの裾をつまみ、恭しく礼をする。サイトはそれを一歩下がったところで見ていた。
「では、馬車を用意しよう。ミス・ロングビル、彼女たちを手伝ってくれ」
「もとよりそのつもりですわ」
オスマンは最後にサイトの横を通り過ぎるとき、サイトにしか聞こえないくらいの小さな声で呟いた。
「彼女たちを守ってくだされ」
「あいつらは嫌いじゃないからな」
サイトはそれに小さく頷いて応えた。
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