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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔3
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キュルケの笑い声が聞こえ、続いて詠唱が聞こえる。どうやらルイズの選んだ魔法と同じ者らしいだが、使い手によって違うものに聞こえる。ルイズの詠唱は優しく、キュルケの詠唱は雄々しく聞こえる。
キュルケの放った炎の弾は狙い違うことなくロープを焼き切った。重力に従い落下するサイトに向かってタバサが『レビテーション』を唱え、ゆっくりとサイトを地面に下ろした。

「あたしの勝ちね! ヴァリエール!」

高々と勝利宣言をしたキュルケだったが、それも長くは続かなかった。
二つの月明かりに照らされていた中庭が突然、暗くなった。

「な、なにこれ!?」

突然現れた山のように大きな土ゴーレムに驚き、とっさに動けないキュルケと、落ち込んでいまだ状況がわかっていないルイズを、ロープを自力で引きちぎったサイトが両脇に抱え、急降下してきたウィンドラゴンに飛び乗る。

「…あんな大きな土ゴーレムを操れるなんて、トライアングルクラスのメイジに違いないわ」

ゴーレムの肩に人影が見えたが、サイトの視力をもってしても深くかぶったローブで顔を見ることは出来ない。
ゴーレムはルイズが作った本塔のヒビに向かって拳を繰り出した。ヒビ割れた壁はその一撃に耐えることはできず、砕け散り、穴をあけた。肩に乗っていた人影は腕を伝って本塔に侵入し、一分と経たずに何かを抱えて戻ってきた。
ゴーレムは魔法学院の城壁を一跨ぎで乗り越え、草原を進んでいく。その背に向かってサイトは手を振り上げた。ゴーレムが縦に真っ二つに割れた。

「やった!」

「チッ!」

ルイズが声を上げたが、サイトは舌打ちをした。自分が土ゴーレムを斬るほんの少し前に人影が逃げたのが見えたからだ。
翌日、破られた宝物庫の壁に『呪われし衣、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』という文字が刻まれているのが発見された。


―――――――――――――――――――――――――


翌朝、トリスティン魔法学院では、昨夜から蜂の巣をつついた騒ぎが続いていた。
すべての授業は休講、生徒たちは自室待機を命じられ、目撃者であるルイズ、キュルケ、タバサ以外の生徒の姿はない。
教師たちは好き勝手に喚き、しまいにはその日当直だったミセス・シュヴルーズが非難の的となった。
それを学院の最高権力者であるオールド・オスマンがいさなめた。

「さて、犯行現場を見ていたのは誰だね?」

「この三人です」

髪がかなり後退した男、ミスタ・コルベールが自分の後ろに控えていた三人を示す。使い魔であるサイトは人数に含まれておらず、壁に寄りかかり、目を伏して話を聞いていた。

「フム…君たちか」

オスマンは、興味深そうにサイトを見つめる。その視線に気づき、サイトも片目を開けて相手を見返す。


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