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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔2
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う心がワルキューレをがむしゃらに操った。
ギーシュはこれほどの数を一度にしかも戦いという複雑な場に出したことがないのだろう。ワルキューレの動きは単調な一斉攻撃はあっても、行動を組み合わせた連携攻撃はない。
サイトは相手の動きの単調さに苛立ちを覚えた。彼の育った地にギーシュを放り込んだなら、わずか数日で死体になっているだろう。彼の育った地で必要なことは相手を見抜き、己の力量を知ることが絶対条件だ。だが、ギーシュは無駄にあるプライドが故にその両方を曇らせてしまっていた。

「もう、いい」
(殺す気も失せた。ビビらせて終わらせるか)

そう呟いた次の瞬間、サイトは手を振った。次の瞬間、すべての『ワルキューレ』が横一線に切り裂かれた。その切れ目はまるで磨かれた鏡のように綺麗だった。

「まだやるか?」

すでにこの決闘に興味を無くしたサイトは殺気を乗せて睨んだ。ギーシュはぎこちなく首を振ることしかできなかった。


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つまらない戦いをしたなと後悔しつつ部屋に戻ろうとするサイトの前に一人のメイドが現れた。シエスタだ。明るい印象を持つ彼女の顔は何故か硬かった。

「どうかしたのか?」

「…サイトさん、本当はメイジだったんですね。それなのに今朝は失礼な態度をとってしまい、申し訳ございませんでした」

彼女は深々と頭を下げた。

「……俺は魔法使いじゃない」
(ただのバケモノだ)

「……で、でも」

「……そんなに俺を魔法使いにしたいのか?」

「い、いえ、そういうわけじゃ……」

「だったらいいだろ? 俺は魔法使いじゃない。だから朝みたく接してくれればいい」

シエスタの肩をポンと叩き、サイトは部屋に向かって歩き出した。
残されたシエスタは叩かれた肩に手をおき、さっていくサイトの背中を見送った。


―――――――――――――――――――――――――――


夜になり、サイトはルイズの部屋にある本を読んでいた。

「……まだ読めない部分があるな。ルイズが帰ってきたら頼むか」

本から目を離し、二つの月が浮かぶ空を見上げる。ルイズは今、この学園の学園長であるオールド・オスマンに呼び出され、ここにはいない。
サイトは再び本に視線を戻したとき、扉が開きルイズが入ってきた。

「決闘のことは不問にするそうよ。それと、はい」

部屋に戻るなり、サイトの専用席になりかけている窓に腰掛けて本を読んでいるサイトに黒い布を押し付けた。

「なんだ?」

「マントよ」

「?」

「オールド・オスマンが、あなたをこの学園の生徒にするって」

マントを広げ、さまざまな角度から眺め、寝るのに使えるななどと考えつつ
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