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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔2
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その姿を見てサイトは確信した。ここにいる者の中で本当の戦いを見たことのあるものはいないと。でなければ、ここにいる連中は狂っているに違いない。
振り返りサイトがきたことに気がついた少年はにやりと笑みを浮かべた。どうやらさっきまでの苛立ちは収まったようだ。
サイトは少年の笑みに不快なものを感じた。彼の浮かべた笑みは明らかに『弱者をいたぶることを快楽と感じる者』の笑みだったからだ。

「ムカツク……弱いくせに」

「何か言ったかね?」

「なにも」

「ふっ、逃げずにきたことは誉めてやろう」

「三流の悪党そのままのセリフだな」
(このパーティ、少しでも楽しませてくれよ)

「ッ! さてと、はじめようか」

少年が薔薇の花を振った。
すると花びらが一枚、宙に舞い、甲冑を着た女戦士の形をした人形になった。
身長は人間と同じくらいだが、金属製のようだ。淡い陽光を全身に受けて、甲冑がきらめいている。
女戦士の姿をしたゴーレムはズボンのポケットに両手を入れたままのサイトに襲い掛かり、腹に右拳が叩き込まれた。その力によって浮いたサイトの体に続けて左拳が叩き込まれた。
2,3m吹っ飛ばされてサイトは地面に受身も取らずに倒れた。

「言い忘れていたな。僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。そしてこれが僕の青銅のゴーレム『ワルキューレ』だ。…といってももう聞こえていないだろうがね」

「いや、しっかりと聞こえたぞ。ギーシュ」

サイトに背を向けて颯爽と立ち去ろうとしたギーシュが振り向いたところには立ち上がり、先程と同じようにポケットに両手を入れたサイトが立っていた。

「相手が名乗ったんだから、こっちも名乗らないとな。俺は平賀サイトだ。適当に相手してやる」

先程殴られたダメージなどなかったかのように平然と立つサイトに周囲がざわめいた。

「おい、あいつ本当に人間か? ゴーレムの攻撃喰らって平然としてるぞ」

そんな周囲のざわめきにちらりと視線を送ってからサイトはギーシュに向き直った。
両手をしまったまま、ワルキューレに歩み寄る。呆然とするギーシュからの命令がないため動かないゴーレムにサイトのローキックが叩き込まれた。次の瞬間、蹴られた左足が砕け、ワルキューレは倒れた。ここでギーシュが慌てて指示を出すも、ときすでに遅く倒れたワルキューレにサイトの蹴りが何度も叩き込まれ、元の姿など見る影もなくなっていた。まだわずかに動いていた指先を踏み潰してサイトは再び歩き始めた。
ギーシュは慌てて薔薇を振り、新たなゴーレムを6体生み出した。
6体のワルキューレが悠然と迫るサイトに向かって一斉に襲い掛かる。それをまるで360°すべてに目があるかのようにわかしていく。
その姿にギーシュは恐怖を感じ、それを認めたくないと思
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