オルフェノクの使い魔2
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栗色の髪の少女と頬をひっぱたかれて椅子から無様に落ちた金髪の巻き髪の気障っぽい少年がいた。
周囲はこの状況を楽しんでいるらしく、助け起こそうとしたりしようとはしていない。
「なんだあれ?」
「はぁ…気にしなくていいわよ。馬鹿にかかわらないほうがいいわ」
そう言いつつもルイズもこの状況を楽しむつもりらしい。
(他人の不幸は蜜の味ってか)
床に尻餅をついている少年の前に見事な巻き髪の少女は立った。
「モンモランシー。誤解だ。彼女とはただいっしょに、ラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただけで……」
少年は首を振りながら弁解をはじめた。冷静な態度を装ってはいるが、内心かなりビビっているようだ。
「やっぱり、あの一年生に、手を出していたのね」
「お、お願いだよ。『香水』のモンモランシー。咲き誇る薔薇のような顔を、そのような怒りでゆがませないでくれよ。僕まで悲しくなるじゃないか!」
どっかの三流恋愛小説でも使いそうにない歯の浮くようなセリフを必死になっていっているが、モンモランシーは、それを完全に無視してテーブルに置かれたワインのビンを掴み、中身を少年の頭の上からかけた。
(私と死んで! とか言って無理心中って展開はなしか)
「うそつき!!」
モンモランシーはそう怒鳴ると走り去っていった。
少年はハンカチを取り出すと、ゆっくりと顔を拭き、倒れた椅子を立たせるとそれに座り、芝居がかった仕草で言った。
「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」
周囲の生徒が一斉にひいた、思いっきりひいた。
サイトはスープの残りをすすりながらこのあと少年がどう動くか観察することにした。
「君が軽率に、香水のビンなんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
少年はメイド服を着た黒髪の少女に突然八つ当たりを始めた。
(あ、たしかあのメイド、朝、井戸の場所を教えてくれた…シエスタとか言っていたな)
「いいかい? メイド君。僕は君が香水のビンをテーブルに置いた時、知らないフリをしたじゃないか。間を合わせるぐらいの機転があってもよいだろう?」
「…申し訳ございま「謝る必要なんてないな」 え?」
必死になって頭を下げるシエスタの肩にポンと手を乗せ、やんわりと後ろに下がらせた。
「何だい? 君は?」
「あ、あの…」
「おまえがひっぱたかれるところから、見はじめたから最初の部分はよく分からないが、二股かけたおまえが悪い。女に八つ当たりなんてさらに自分を無様にしていくっていうのがわからないのか?」
サイトの突然の登場に周囲の視線が再び集まりだした。
「聞こえなかったのかい? 君は誰だと聞いたんだ」
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