第六章
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「カナダのレシピの本もあかん」
「これからは使わない方がいいね」
「そや、それでや」
だからだというのだ。
「そういうことでな」
「わかったよ、じゃあね」
「これからはやな」
「アメリカのレシピでお料理を作って」
「お菓子の家もやな」
「造りなおすよ」
そうすることを約束するのだった。
「実際にね」
「それがええわ、このままやとな」
「誰も食べないね」
「お孫さん達もな、誰も食べへんお菓子の家なんか」
それこそというのだ。
「何の意味もないやろ」
「暮らせるけれどね」
「お菓子って食べるものだから」
孫達も麻里佳に続いた。
「食べられないならね」
「意味がないよ」
「そやろ、まあ今のお菓子の家は」
それはとだ、麻里佳はこちらのことも話した。
「競売に出そうか」
「新しいお菓子の家を作ってだね」
「ごっついまずくても誰か買うやろ」
お菓子の家ならというのだ。
「ほなうちは建築士やから」
「あっ、そうなんだね」
「大工道具も持ってるさかい」
そう言いつつ早速だ、麻里佳は自分の武器でもある大工道具を出した。そうしてそのうえでだった。
老婆がアメリカのレシピ通りに作ったお菓子を次々に家として組み立てていった。そうしてであった。
古い家は競売に出した、すると。
イギリスのマロリーが貝殻から麻里佳に言ってきた。
「お菓子の家を売っているそうだね」
「はい、そうですけど」
「ではそのお家をね」
是非にと言うのだった。
「買わせてくれないかな」
「それで召し上がられるんですか」
「今皆が好きだからね」
お菓子、それがというのだ。
「だからね」
「買ってくれるんですか」
「そうさせてもらうよ」
是非にと言うのだった。
「今からそっちに行くから」
「ほな宜しゅう頼みます」
こうしてだった、古いまずいお菓子の家はマロリーが買うことになった。マロリーは移動の術でカナダに来てだった。
お菓子の家を買ってロンドンに戻った、麻里佳は家が売れた金は全て老婆達に渡して新しいお菓子の家に住むことにした彼女と孫達と亜紀と共に手を振り合って別れた。
そしてその後でだ、麻里佳のところにマロリーから明るい返事が来た。麻里佳はオタワに戻る道中で共にいる亜紀に言った。
「マロリーさん美味しいってな」
「あのお菓子の家食べてかいな」
「そう言ってはるで」
「イギリス人やな」
亜紀は麻里佳のその話を聞いて述べた。
「ほんまに」
「あの人もな」
「来日してはじめて美味しいって知ったらしいけど」
「元々な」
それこそというのだ。
「味音痴や」
「そやね」
亜紀は麻里佳のその言葉に頷いた。
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