「その一撃は」
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だ。
奇縁だ。冬木の面々の顔を見るのも。己がそれを記憶していたのも。
一時撤退も視野に入れる。しかしまだ気づかれてはいない。暫し追跡しつつ観察していると、例の人間の女海賊と遭遇したようだ。
白髪の男が代表して話し始める。
――あの男が指揮官か。
生身の人間は他に金髪の女がいる。そちらの存在感も図抜けているが、男を信頼し代表を任せているのだ、間違いあるまい。
そして白いキャスターが、宝具を起動する。すると、重傷者達がたちどころに快癒していくではないか。回復系の宝具……厄介極まる。回復させる刹那、微かな隙を見いだす。今の機会を活かさない理由はない。
アルケイデスは、毒瓶に九本の鏃を浸ける。そして狙いを定め――
偶然か。白髪の男と目が合った。だが遅い、間に合わない。真名を唱えた。
――『「射殺す百頭」』
「『熾天覆う七つの円環』――ッッッ!!」
絶叫だった。余りに咄嗟で、形振り構わず展開された紅色の楯は三枚。一枚が己、他二枚がアイリスフィールを包む。
その直前アルトリアが直感に弾き飛ばされたように動いていた。一瞬遅れてオルタも即応する。だが彼女達の力を知っていたが故に、解き放たれた竜の首を象る九条の矢箭の内、四本が彼女達の足止めに割かれる。遮二無二に迎撃するも、アルトリア達は吹き飛ばされた。
五条の矢箭。その内の二本が瞬間的に危機を察知した槍兵の迎撃に止まる。十八のルーンの防壁だった。残るは三条、その一条が白髪の男を。二条が白いキャスターを狙う。紅色の楯は一瞬しか保たなかった。だが――その一瞬であらゆる覚悟を固めるには充分だった。
男は残る四枚の花弁を纏い、白い女を突き飛ばす。だが急造故に強度が足りない。威力を減衰させる事は出来たが、人体を貫通しない程度に威力を残した矢が虚空を駆けた。
故に必然。その身に三条の矢箭が――ヒュドラの毒の浸かった鏃が、男へと突き刺さった。
「がぁアァああアアア――ッッッ!?!?!?!」
左腕が飛び、右脚が四散し、腹部に大穴を空けて。体が腐蝕していく――
目標の片割れは逃したが、ともあれ。
奇襲、成れり。
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