暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
掌の上だと気づいて士郎くん!
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ティーは捨ててしまえ」
「後生でござる! 今のままの、ありのままの黒髭を弟子にして欲しいでござるぅ!」
「無理」
「やはり格好でござるか? ブルマを穿けと?」
「お前が穿いたら控えめに言って地獄絵図だぞ」
「そんなぁぁああ――あ? おっとマスター氏、島が見えてきましたぞ」

 黒髭が馬鹿騒ぎを起こしていると、漸く仮の目的地が見えてきた。流石に宝具、航海速度は大したものである。
 黒髭曰く、敵は真名不明。しかし最低でもヘクトールと件の弓兵が敵である。故に俺は戦力は多いに越した事はないと判断し、他に現地にカウンターとして召喚されたサーヴァントの生き残りがいないか探す事にしたのだ。

 その最初の一歩がこの無人島。敵の目的やら何やらが不明な為、まずは敵の戦略目標を知らない事にははじまらない。
 しかしなんだ、ドッと疲れた。この黒髭劇場を封じる為に、女性陣とは隔離して、野郎で周りを固める他ないと判断する。

 ――しかし、なんだろうか。

 俺はなんとなく嫌な感じがした。カルデアが後手に回るのは仕方がないにしても……何か、特定の道を歩まされてるような……誘導されているような感じがする。
 そうと断じるには判断材料に乏しい。何故そう感じるのかを、これから見定めていくしかない。言えるのは、少なくとも黒髭がこちらを陥れようとはしていない事。少なくとも今は。

 ――戦争は、将棋みたいなものだ。

 個人の戦いではなく、戦略を練るなら将棋みたいなもの。俺は姿の見えない指し手と対局しているように思える。
 第一特異点を速攻で片付けてからだ。第二特異点の始まりから、連鎖した変異特異点。大局的に見て、この第三特異点でも同様の打ち筋を朧気に感じられる。
 弟子にぃ、何卒弟子にぃ! と脚に縋りついてくる大男を足蹴にしながら、近づいていく無人の島を見る。

 何はともあれ、これからだ。この特異点にも魔神柱はいるのだろう。その気配を辿れば、必ず狙いも見えてくる。第二特異点でこちらの偵察を、変異特異点で時間を稼いだような……合理的な打ち筋だ。ならやり易い。合理的な打ち手なら確実にその道筋を辿れる。その思考の癖さえ掴んでしまえば後は簡単だ。だが今は――時間は敵である。前も、今も。

「……」

 敵の掌の上から脱せるのは、いつになるのか。今も敵の思惑通りの状況なのか。
 その敵は、この特異点にはいない。少なくとも俺がその『敵』ならいないだろう。そして合理的な思考を持つ魔術師なら――

 第二特異点で偵察。
 変異特異点で時間稼ぎ。
 三番目の打ち手は……。

「――実験(・・)、か?」

 その呟きは、海賊船の掻き分ける潮騒に紛れて消えた。












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