【ヒマワリとの休日】
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くら才能があってもちゃんと努力しないと身に付かないからな。日向の天才のネジだって、すっごく修業して強くなったんだからな。ネジみたいに強くなれとまでは言わないけど、自分の身は自分で守れるくらいにはならないとな」
ナルトはヒマワリに目線を合わせ、優しく言った。
「うん……! あ、そうだ。あのね、何日か前にね、ネジおじさんの夢を見たんだよ!」
「おぉ、そうなのか! どんな感じだったか、覚えてるか?」
「んっとね、白い服着てて、とてもやさしくて、ヒマの頭なでてくれたの! あとね、おじさんの長い髪さわらせてもらったんだけど、すっごくさらさらしてた!」
ヒマワリは嬉しそうに頬を染めた。
「そうか……良かったなぁ。俺の夢にも出て来ねぇかなぁ、それとも出て来てくれてるけど目が覚めたら忘れちまってるのかな……」
実の所ナルトは、時折大戦時のネジの死を夢に見ては飛び起きるなどして胸を締め付けられる思いをしていたが、ヒマワリにはそれは言えなかった。──あの時の夢ではなく、ただ普通に会いに来てくれる夢を見たいと思うのは、勝手な願いなのだろうかとも感じる。
「ヒマがもっと小さい時はね、夢じゃなくて、ネジおじさんいつも近くにいてくれたんだよ。ミナトおじいちゃんも、クシナおばあちゃんも、お父ちゃんの師匠の人も」
「そういやまだ小さい頃、そんな感じしてたっけなぁ……ボルトも」
幼児期に息子のボルトも、誰も居ないはずの方向を向いて一人キャッキャしている事がよくあって、今思えばあれは自分の師匠や父と母、義兄のネジが、そっとボルトやヒマワリの相手をしてくれていたんだと思うとナルトは胸が熱くなる。
「……でも、だんだん見えなくなっちゃったの。今は、時々夢に出てきてくれるんだけどね」
少し寂しげにヒマワリがそう言うという事は、ボルトも口には出さないだけで夢ではまた会えているんだろうなと察せられる。
「──なぁネジ、俺は……火影としてちゃんとやれてっかな。里の皆は俺の家族で、里には孤児も多くて……、俺は日々激務に追われてるけど、里の家族皆の為なら苦にならないんだってばよ。それで働き過ぎだってよく言われて、
こうしてまともに休み貰わないと休む気にならねぇんだけどな。何かいくら里の為に働いても足らねぇ気がして……俺、本当に火影として上手くやれてるのかなっていつも自問自答してるんだ。師匠や父ちゃんに母ちゃん、お前に……ネジに恥じないように出来てっかな」
墓を前に、ぽつりぽつりと呟くように話すナルトだが、応えは返って来ない。
……だが代わりに、ふわりと優しい風がナルトの顔を、そっと撫ぜるように吹いた気がした。
《終》
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