第6章:束の間の期間
第197話「明かされる謎」
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ですよ。優輝さん」
伝心の最中、僅かに感じられる特有の気配を察知する。
声を掛けられ、振り返れば、そこに祈梨がいた。
「『……そういう事か。今こっちに到着した』」
『もう?まぁ、転移したようだしね。用件はそれだけよ』
伝心が終わり、優輝は改めて祈梨と向き合う。
「伝心の内容が聞こえるとはな」
「基本、どの力も干渉しようと思えば出来ますから」
「ほう……?」
その言葉に興味を持つ優輝。
それに気づいたか、予め話すつもりだったのか、祈梨は言葉を続けた。
「神界の存在はこの世界で言う魔力や霊力、そして神力とも違った力……“理力”と言う力を持ちます。この力は、言うなれば全ての力の“素”となるものです」
「“素”……そうか、変化させる事が出来るのか」
優輝は思い出す。以前襲って来た自分に容姿が似た襲撃者を。
その男も、魔力に見せかけた力を扱っていた。
その力も理力と呼ぶものだったのだろう。
「他の世界から見れば、理力は領域外の力であり、万能の力ですからね。何物にも代えられる、原初のエネルギー。それが理力です」
「……“格”が違う訳だ」
領域外。言い得て妙だと、優輝は思った。
何せ、常人には理解できない力なのだから。
「理力さえ扱えれば、“格”が足りなくとも神々に干渉出来ますが……あまり現実的ではありません。基本的に、理力を扱えるのは神界の存在のみですから」
「“基本的に”……か」
「まぁ、何事にも例外は付き物です」
つまり、例外的に神界の者でなくとも理力を得る方法はあると言う事だ。
しかし、その方法が不明な上、現実的ではないために、祈梨は神界の存在の対抗手段として挙げず、優輝も非効率的だと断じ、その話はそこで終わった。
「まぁ、その話は置いておこう。行動を起こす前に話していた事以外に、協力してほしい事があるんだ。構わないか?」
「内容によりますが……まぁ、ソレラさんの治療がてら、まずは話を聞きましょう」
「分かった」
一旦客間に移動し、祈梨が未だに眠るソレラに対し手を翳す。
淡い光が手から発せられるが、やはり理力は魔力や霊力とも違うため、優輝にはその力がどういったものかよく解析出来なかった。
「協力してほしいのは、幽世との境界と、時空間を漂流している存在に関する情報だ。僕にはその二つをどうにかする方法は用意出来なくてね」
「……なるほど、その二つですか」
ソレラから目を離さないまま、祈梨は優輝に聞かれた事について考える。
どちらも神界での戦いが起きたのと同時期の出来事なため、祈梨も把握していない。
「生憎ですが、私も詳しくは知りません。なので、ソレラさんの治療が終わっ
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