第6章:束の間の期間
第197話「明かされる謎」
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「ああ」
以前の通信で、そう言っていたなと、優輝は思い出しながら相槌を打つ。
『結局、それは広がり続けている。私が観測出来る範囲は、既に歪みに覆われてしまったよ。この分だと、全次元世界が歪みに覆われるだろうね』
「悪影響はないのか?」
“歪み”となれば、何かしらの影響があるはず。
優輝はそう思ってジェイルに尋ねる。
『……今の所、目立ったものはないよ。ただ、一度目の揺れの際に調査しておいた、“異常がない異常”に関して、普段と同じ状態に戻っている箇所もある』
「……どういう事だ?」
『変化が元に戻っているのだよ。それも、地球に近い次元世界……つまり、時空間の歪みに早めに呑み込まれた世界の変化の順にね』
ジェイルの言葉と共に、通信機を通して映像が送られてくる。
そこには、以前は起きていた“異常がない異常”がなくなっている様子が映っていた。
以前のメッセージのやり取りにも挙げていた魔力版の火山地帯もあった。
「影響がなくなっているのか?」
『厳密には、異常に見合った影響も起きるようになった。と言うべきかな。以前メッセージで挙げた魔力火山の映像を見れば分かる通り、魔力の増大に応じて気象が荒れている。他のも同じように、本来起きる影響が出るようになった』
「なるほど……」
素人が見れば、実は偶然だっただけなんじゃないかと言われそうだと思いながら、優輝は頭の中で今得た情報を整理する。
「結局の所、一時的なものだった訳か」
『ああ。これは推測なのだが、おそらく環境が時空間の歪みに対応したからと見ている。時空間の歪みと言う、未知の部分なだけあって、直接環境には影響を及ぼさない。しかし、異常は起きている。それが以前の“異常がない異常事態”となっていたのだろう』
推測と言うジェイルだが、ほとんど確信を持っていた。
何せ、優輝には分からないが、今ジェイルの手元には時空間の歪みと、異常がない異常事態についての経過記録があり、そこから今の推測を言っていたためだ。
「……となると、幽世との境界も……」
『元に戻る……と言いたいのだがね。そう簡単にはいかないらしい』
「なに?」
同じように幽世との境界も戻るのかと思えば、ジェイルは否定する。
『時空間の歪みを観測出来るようになってから、幽世との境界とやらも漠然とだが観測できるようになってね。……簡潔に言えば、手遅れだ』
「ッ、つまり……」
『もう戻る事はない。いや、この場合は特異点の中心である地球だからこそ起きた例外と言うべきかな?』
境界が薄れ、だが悪影響は出ない。
そんな状態から戻る事はないと、ジェイルは言う。
「……後で調査しよう。神界の神がいれば、分かる事も
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