第二章
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のか?」
そうシュトゥフが問うと、ルークは振り返りざまに立ち上がって言った。
「見付けた…かは分かりませんが、先程から開かない扉がありまして。鍵もなく、解錠の魔術も効かないため、何か仕掛けでもあるのかと調べておりました。」
見れば、床から少しばかり上に小さな扉がある。試しにスランジェも解錠の魔術を使ってみたが、何の反応も示さない。
シュトゥフは違う場所を探していたマルクアーンに声を掛け、その小さな扉を開けないか聞くと、彼女は屈んでその扉へと触れた。
「…え!?」
マルクアーンが触れた途端、その小さな扉はひとりでに開いたため、四人を驚嘆させたのであった。
マルクアーンは暫くその扉を見ていたが、高位魔術が施されていたのではと考え、そしてあることに気が付いた。
「恐らく…これは"血"が鍵になっておるのだろう…。」
「"血"だと?」
シュトゥフは首を傾げた。
高位魔術の施錠に、血…所謂“血脈”や“血縁”などを鍵とするものがある。その一族や血筋でなくば開かないようにする魔術だが、もしそうだとして一つ問題がある。
何故、マルクアーンが触れて開いたのか…である。
しかし、その中に収められていたものを見た時、それはとても些細な問題だと思えた。
何故ならば、その中に収められていたものは魔晶石でも魔具でもなかったからだ。
「…これは…まさか…!」
余りの事に、マルクアーンは言葉を失ってしまった。「マルクアーン様…これがどうかされましたか?」
そこにあったものは、人の掌に収まる程の翡翠であった。その表面には何か紋様が描かれていたが、マルクアーン以外に、それが何かを知る者は居なかった。
「聖クラヴィアーノのジェードだ…。」
「…!?」
それを聞いたシュトゥフ、ルーク、スランジェの三人は息を飲んだ。
聖人を冠した聖玉は十二あるが、大戦前には十七確認されていた。
現在、その十七全てを記憶している者は、恐らく…マルクアーン位なものであろう。何せ、その十七全ての形を描き、その力を書き記したのはマルクアーン自身だからである。
だが、今では〈十二聖玉〉と言われているように五つは除外されているのである。
聖玉の三つは大戦中に力を消失させて砕け、二つは大戦の最中に行方が分からなくなっているのである。
その行方が分からなくなっていた聖玉の一つが、ここにある〈聖クラヴィアーノのジェード〉である。
「まさか…この様な場所にあろうとは…。」
そう言いつつマルクアーンが聖玉に触れようとした時、そこから邪気が放たれていることに気付いたが、彼女はそれに触れてしまった。
ぬかった…と思い手を離そうとした時、そこからある感情が溢れ出してきた。
それは在りし日の思い出…遠い記憶…。
ー マリアーネ…。 ー
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