第二章
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たそれをスランジェは近くにあった木に端を括り付け、片側を井戸の中へと投げ入れた。
「中に光を。」
そうマルクアーンに言われ、スランジェは井戸の中へ魔術を行使すると、その井戸は然して深くはないにせよ、底から横穴へ入ることは難しかった。
ふと見れば、微かに壁面に穴が空いており、在りし日にはこれを使っていたであろうことが推測出来た。
一行は縄橋子を横穴に少しばかり重なるように下げ、それを使って何とか先へと進むことが出来たのであった。
横穴に入ると、スランジェは探査の魔術を行使して危険の有無を調べ、四人は慎重に奥へと進む。途中までは湿気で苔むした足元に苦戦したが、進むに連れて湿気が無くなり、その扉に辿り着く頃には何の苦もなくなっていた。
その扉をマルクアーンが開くと中に明かりが灯ったため、シュトゥフなどは罠かと思い身構えたが、マルクアーンは驚きもせずに中へと入って行った。
「シヴィル…大丈夫なのか?」
「なに、単純な魔術だ。扉を開くと明かりが灯る…それだけだ。」
事もなげに言うマルクアーンに、シュトゥフは溜め息を吐きつつ中へと入る。そんなシュトゥフ同様、二人の魔術師もマルクアーンの肝の座りように溜め息を洩らしていた。
四人は早速魔力の出処を探し始めたが、マルクアーンはふと気になって書棚へと歩み寄り、そこにあった書物を手に取った。
その書物はかなり古いものであったが、それは全く埃をかぶっていなかったのである。
「最近…誰かここを訪れたな…。」
そう呟くと、マルクアーンはその書物を開き…眉を顰めた。
「これは…外法の書ではないか…!」
「外法の書?何だそれは。」
シュトゥフはそう言いつつ歩み寄って見ると、シュトゥフさえも眉を顰めたのであった。
そこに記されていたものは、人と魔獣を掛け合わせて獣人を創る魔術…獣や爬虫類などを掛け合わせてキメラを創る魔術など…人外を創り出すための魔術を記した書物であった。
「恐らくは大戦前に書かれたものじゃろう。署名はないが、相当力のある魔術師が記したに違いない。」
「こんなもの残す必要あったのか?」
如何にも忌々しいと言った風に、顔を顰めてシュトゥフは返した。
そんなシュトゥフにマルクアーンも同感と言った風にそれを閉じ、スランジェを呼び寄せて言った。
「済まぬが、ここにある書物を全て井戸の底へ投げ捨てて焼却してほしい。」
「宜しいのですか?」
「構わん。これは人の目に触れてはならんもの。こんな馬鹿な研究をしていたから、戦は大きく広がってしまったのだからのぅ。」
そう言うやマルクアーンは再び探索を始めたため、シュトゥフはスランジェを手伝って書物を運び出した。
二人が書物を全て灰にして戻ると、部屋の隅でルークが何やらしゃがみ込んでいる。
「ルーク、何か見付けた
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