第二章
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「見つからんな…。」
シュトゥフは溜め息混じりにぼやいた。
マルクアーンとシュトゥフはルークとスランジェの二人に悪魔を隔離する結界を維持させ、今は動かなくなったグールの躰を調べていた。
「ん?ルーのヤツ、わしらがここに来た事を察知したのか。」
マルクアーンがそう言って視線を向けた方を見れば、そこには長身で銀髪の男が来ていた。
彼が二人の魔術師へと力を貸していたため、マルクアーンとシュトゥフは時を稼ぐことが出来たと喜んだが、どこをどう探しても何の力も感じられない。
「魔晶石や魔具であれば、多少は魔力を感じられそうなものたが…。」
「シヴィル、これだけ探してもないんじゃ…体内にもありゃせんよ。」
シュトゥフが諦めた様にそう言うと、マルクアーンは腕組みをして考える様に言った。
「体内になくば、何故あれ程まで広範囲を移動出来たのか…。この一体に魔力を供給出来るだけの魔具があれば別だが、その様な強力なものなぞ…。」
そこまで言った時、ルークとスランジェが二人の元へと来たため、マルクアーンは眉を顰めた。
「お前たち、結界の維持はどうした?」
その問いにスランジェが答えた。
「ルーファス様があの悪魔の名を縛ったため、結界を維持する必要が無くなりました。」
「は?」
マルクアーンもシュトゥフも、それには呆気にとられた。悪魔は名を縛られれば、もはや家来も同然。故に、名を明かすことなど有り得ないのだが…。
「ルーファス様が仰るには、悪魔は力を消耗してしまっており、力を補充する術も無いとのことです。それに今、弟子のヴィルベルト様も来られているため、私達二人はこちらへ来て手助けするようにと。」
呆気にとられている二人にルークがそう説明するや、二人は納得した様にルーファスらを見ると…何やら悪魔から聞き出しているようであった。
「あとですね、お二方が探している物と場所が違う…そうあの悪魔は言っておりました。」
「物と場所が違う…。」
そうマルクアーンは呟くと、ハッと顔を上げて周囲を見回した。
「どうしたんじゃ、シヴィル。」
訝しげに問い掛けるシュトゥフに、マルクアーンは言った。
「わしは…なんと愚かだったのだ…。シュトゥフ、この付近に無傷の建物が無いか探すのだ!」
「…?」
シュトゥフは何が何だか解らぬまま、魔術師二人にも手伝わせて無傷の建物が無いかを探した。
辺りは全て破壊され尽くされていたため、四人はかなり広範囲に渡ってそれを探した。
辺りは夕が迫っており、せめて夜になる前にはと四人の気は急いていた。
「マルクアーン様!」
もう少しで地に日が沈み切る頃、スランジェが大声でマルクアーンを呼んだ。彼は魔術で光を出していたため、マルクアーンらは直ぐにそれを見付けることが出来た。
そこは王城の裏
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