第五章
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そうしてこの場にいる全ての悪人達を眠らせてから貝殻で警察を呼び彼等を一網打尽にした。するとだった。
厳格な取り調べの結果都の裏社会に古くから悪の限りを尽くし巨万の富を得ていた一族の存在がわかった。彼等は皆だった。
裁判の結果魂まで消す死罪や寿命までの強制労働といった極めて重い処罰を下された。こうしてだった。
都どころか日本ひいては太平洋全域にまで魔の手を及ぼそうとしていた者達はいなくなった、だがそれでもだった。
太宰は喜久子と共に自身の屋敷で酒を飲み天平時代の料理を食べつつ話した。
「一つの悪は成敗しましたが」
「世に悪人の種は尽きずですね」
「そうです」
まさにとだ、太宰は白い酒を飲みつつ述べた。
「どうしても」
「それは残念ながら」
喜久子も蘇を食べつつ応えた。
「真実ですね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「これからもです」
「悪人達を探し出し」
「見つけ出せば」
その時はというのだ。
「成敗していきます」
「それもまた副宰相殿の務めですね」
「この国の内政を預かる」
大宰相はリーであるが太宰はそのリーの下で内政全般を統括している、それでこう言うのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「はい、これからも悪人は成敗し」
「それだけ国をよくしていきますね」
「この太平洋を。そうしてですが」
ここまで話してだ、太宰は。
その手にあるものが出て来た、喜久子にそれを見せてそうして言うのだった。
「これを」
「新たな神具ですね」
「私にとって四つ目の」
見れば一冊の書である。
「神具、続日本紀ですね」
「あの書ですか」
「はい、この書を手に取りますと」
神具であるそれをというのだ。
「知恵がかなり宿ります」
「そうなのですね」
「これもまた素晴らしい神具です」
知力がかなり上がるからだというのだ。
「しかも神託を終えて私自身全体的にです」
「成長しましたか」
「一回り」
そうなったというのだ。
「有り難いことです、では」
「新たな神具と強くなったお力で」
「この世界を救う為に」
まさにと言うのだった。
「これからも励んでいきます」
「そうですか、では私も」
喜久子も太宰のその言葉を受けて自分もと微笑んで述べた。
「そうさせて頂きます」
「そうして世界を救いましょう」
太宰は最後はこう言った、そうしてまた一杯飲んだ。その酒は実に美味いものだった。
闇の一族 完
2019・2・24
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