第四章
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「柄が悪いです」
「その柄の悪い者を追って」
「一族の隠れ家に入り」
「太宰さんがですか」
「成敗します」
「そうされますか」
「では今夜にでも」
東寺の裏に行くとだ、太宰は述べた。すると喜久子も申し出た。
「では」
「貴女もですか」
「私は今回のことは貴方と一緒ですので」
二人一組になっているというのだ、神託は星の者達が二人一組で向かい果たすことが定められているからだ。
それでだ、喜久子は太宰と組になっているからだというのだ。
「ですから」
「それでは」
「二人で行きましょう」
「そうですね、それが決まりですので」
太宰は喜久子の言葉に微笑んで応えた、こうしてだった。
二人は夜明け前に東寺の裏に赴いた、そこは確かに普通の長屋が立ち並んでいる場所だった。そこに一見ごく普通の毛人の男が長屋の中のある部屋に向かっていたが。
まさに一見だった、よく見ると目つきは異常に悪く肩をいからせて歩いている。その筋の者であることがわかった。
太宰と喜久子はその者達と見付けるとすぐに透明の術を使って姿を消してだった。
男の後ろについていき長屋のある部屋に入った、その部屋も一見すると普通だったが。
囲炉裏の前の畳を開くとそこに地下に行く階段があった、男について音を立てない様にして階段を下りていくと。
そこに広大な日本風の屋敷の造りがあり賭場や遊郭もあった。そして。
御前と言われる立派な身なりの吸血鬼の男が周りにあれやこれやと話していた、それは日本全土はおろか太平洋全域にだった。
悪事によって富を得ようとする悪だくみの話だった。麻薬に売春、人身売買にとだ。無論邪魔な奴は誰で誰を殺すかという話もしていた。
麻薬や売春の証拠掴んだ、そこまで全てわかってだった。
太宰は喜久子と共に透明の術を解いて姿を現してだ、突如姿を現した自分達に仰天している悪人達に告げた。
「副宰相太宰修治、神妙に致しなさい」
「内相海音寺喜久子、ここは逃しません」
こう名乗ってだ、驚きつつも刃を向けてきた悪人達に対して。
即座に錬金術の停止や眠霧、麻痺の様々な霧を敵の広大な場の中を駆けまわりつつ出していった。特に出入り口の階段のところには。
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