第三章
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「私もです」
「お一人で、ですか」
「役所の組織力は非常に大きな武器ですが」
それでもというのだ。
「巨大な組織でしかも表社会にあるので」
「どうしても目立ちますね」
「裏にあるものは見つかりにくいですが表は違います」
「そこに光が当たるからですね」
「その通りです、では」
そのことも踏まえてと言うのだった。
「この度はです」
「副宰相殿もですね」
「一人で調べます」
まさに太宰だけでとだ、こう言ってだった。
太宰は早速だ、彼もまた都のヤクザ者でも大物中の大物に麻薬密売の嫌疑がかかっていることに注目してだった。
その嫌疑を彼が警察を統括する喜久子を傍に置いて内政全体も担当する副宰相の立場からその大物に巧妙に聞いていった。
そしてだ、その結果だった。その者から決定的な言葉を聞いた。無論相手に気付かれない様にしてそうした。
その話をだ、太宰は大物が麻薬では彼にとって致命的な証言をしたことから警官達にこのことについて徹底的な調査を命じると共にだった。
太宰自身は喜久子にこう言った。
「さて、かの一族が気付く前に」
「先程の者を副宰相殿ご自身が取り調べられた」
「そのことからまさかと思う前に」
まさにその前にというのだ。
「私はです」
「一族をですか」
「叩きます」
そうすると言うのだった。
「その屋敷に入り」
「その屋敷の場所は確かに」
「彼は言いましたね」
その大物がというのだ。
「そうしましたね」
「彼は気付いていませんでしたが」
「取り調べの時にふとです」
「東寺の裏と言いました」
「東寺の辺りにヤクザ者はいません」
「関わりのある場所も」
「東寺の裏にあるのは」
それはというと。
「近くに京都駅があり」
「長屋が連なっている場所で」
つまり庶民達の住宅街が集まっているのだ、そこには独特の賑わいがある。
「賭場も何もない」
「ヤクザ者の大物が行くにはですね」
「かなり不都合な場所です、ですから」
「これからですね」
「夜それも夜明け前にです」
その時にというのだ。
「誰もが起きる直前で」
「一番人目が少ない時ですね」
「その時にです」
「東寺の裏に行かれますか」
「そうしてです」
そのうえでというのだ。
「そこにいない筈のヤクザ者がいる筈なので」
「変装していてもですね」
「ヤクザ者は目と動きでわかります」
例えカタギの者の化けていてもというのだ。
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