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闇の一族
第二章

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「日本だけでなく。我々が太平洋も地下世界も統一し」
「その政が盤石になり泰平が確実なものとなって」
「豊かになってきましたので」
「それで、ですね」
「勢力を伸ばそうとしています」
 太宰達の政権の統治範囲全体にというのだ。
「さながら私達の世界の暴力団がそうしている様に」
「ならず者達は平和な時代にこそ栄えます」
 経済が安定したならばそこから余裕が生じるからだ、ヤクザ者という者達は社会が豊かになればその上前を犯罪で取って生きているのだ。
「だからですね」
「その一族もです」
「日本全土からですか」
「いよいよ太平洋に」
「そうなってきていますか」
「おそらく彼等の存在がです」
 喜久子は太宰にさらに話した。
「副宰相殿のです」
「神託ですね」
「そうか」
「そうでしょうね」
 太宰も喜久子の言葉を否定せずに応えた。
「ここでそうした一族の存在が判明したことも」
「このこともですね」
「神仏のお導きでしょう」
「神託へ誘う」
「そうでしょう、では」
「それではですね」
「その一族については私もです」
 神託を受けた太宰自身もというのだ。
「調べます」
「では二人で」
「はい、そして」
「その一族をですね」
「犯罪組織は放ってはおきません」
 政を預かる者としてだ、太宰は喜久子に答えた。
「ですから」
「それで、ですね」
「必ずです」
 まさにというのだ。
「その一族の全貌を掴みましょう、ですが」
「その調査については」
「貴女はこれまで警察を使って調べられたのでしょうか」
「いえ、それでは相手に気付かれます」
「では」
「私一人で調べました」
 つまり喜久子だけでというのだ。
「警察も急しいですし」
「それで、ですね」
「私が裏社会の中でもかなりの地位のある都のヤクザ者の顔役を牢屋に入れていたので」
「その顔役からですか」
「話を聞きました、魅了の術を使い」
 そうしてというのだ。
「全てを聞き出しました」
「そうでしたか」
「その結果です」
「その一族の存在がわかったのですね」
「これまで都の警察の誰もがです」
 政権の内相つまり警察も統括する喜久子もというのだ。
「気付きませんでした」
「そうでしたか」
「しかし」
 それでもとだ、喜久子はさらに話した。
「存在がわかりました」
「ではですね」
「副宰相殿にもお話します」
「宜しくお願いします、では」
「これからもですね」
「彼等に気付かれない様に調べていきましょう」
 存在に気付かれ調べられていることにもそうなればすぐに対処されて隠れるなりされてしまう、だからだというのだ。
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