三十七匹目
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
王都リベレーソから20キロの位置には大きな森がある。
「キツネ君! えんご!」
「ジェネレート・エアリアルカノン! 轟け大気の咆哮!」
風、水(氷)複合魔法エアリアルカノン。
シャクティの前方の狼に向けて放たれた散弾氷球が狼達の胴体を貫き、絶命させた。
「シャクティ! 後退!」
僕達は狼の群れに囲まれていた。
なんでこんな事になってるかと言えば、それは少し遡る。
同日 朝
今日はシャクティの家族と一緒に遠出をして魔物を狩る予定だ。
アーグロ家の伝統らしい。
獣人種族は動物扱いされるのはとっても嫌いだけど、虎や鷹の獣人は種族に誇りを持っていて、動物に倣う事もあるらしい。
それでシャクティが狩りデビューする事になった。
第五師団長さんはやってもやらなくてもいいって言ってたけれど、シャクティがやりたがったらしい。
どうやらクーちゃんの話を聞いて魔物を狩りたくなったようだ。
「キツネ君。キツネ君は剣は使えるのか?」
行きの馬車でシャクティに聞かれた。
「うんお父様から習ったよ」
魔法を覚えて直ぐにお父様から剣術を教わった。
お父様の我流…というか魔法剣士の戦いかただ。
「魔法と剣の複合技術だよ」
「でもキツネ君、剣持ってないだろう?」
「それは大丈夫。いくらでも造れるから」
革製の籠手を着けた手を開く。
「ジェネレート、ウォータライトソード」
氷の剣を作り、握る。
「この氷。そこら辺の鉄より硬いから」
そう、この氷普通に鉄を断てる。
お婆様に聞いてみると、ここが異世界なんだと改めて思った。
魔法で作った氷には、魔力が含まれる。
その魔力が意志を伝達して、氷の強度をあげるそうだ。
「おお…鍛冶師要らすだな」
「魔法で作った氷なら意識し続ける限り溶けないしね」
氷を溶かし水球に戻してから魔力に還元する。
「きつねくん。おいで」
シャクティに手招きされ、体を乗り出すと抱き抱えられた。
とってもいい匂いがする。
「きつねくん」
シャクティの言葉に含まれたニュアンス。
要するに愛でさせろってことだ。
シャクティは口数が少ないが、一言一言にはきちんと感情が乗っている。
その期待に応えるため、獣化する。
この姿になるとシャクティはいつもモフモフの翼で包み込んでくれる。
そのままのんびりしていると、馬車が止まった。
御者の席に座っていた第五師団長が顔を覗かせる。
「シャクティ、シラヌイ君着いたよ」
なぜ爵位を持っている第五師団長殿が御者をしてるかと言えば、それも伝統だからだ。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ