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人徳?いいえモフ徳です。
三十七匹目
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上げる。

『キャィンッ!?』

今ので十体くらい死んだ。

「これで帰っては……くれないっぽいね」

「そうだな。ここからは私がやろう」

ピルム・ムーリアリスと突き上げた氷鉱槍を折り、狼がサークル内部に侵入する。

「一応ポーションとかあるから、即死じゃないかぎり大丈夫だから」

「わかった」

シャクティが駆け出す。

飛びかかる狼に対し六歳とは思えないその長身で刀を振るう。

その一撃は狼を文字通り一刀両断した。

「うそん」

「きつね君が魔法の練習してるのと同じさ」

シャクティの剣は一振りで狼を割り、首を落とし、臓腑を裂く。

シャクティの周囲に数匹の死骸が横たわる。

が、狼もバカじゃない。

サークル内に入って、シャクティを半包囲し始めた。

「キツネ君! えんご!」

「ジェネレート・エアリアルカノン! 」

シャクティの隣に砲を作る。

「轟け大気の咆哮!」

数千発の子弾によって狼がミンチになった。

「シャクティ! 後退!」

シャクティがバックステップで戻ってくる。

狼の上に氷の槍を作り、落とす。

「シャクティ。何匹か狼の尻尾取ったら逃げるよ」

「む。納得いかないが」

「僕なら全部倒せるけど、シャクティは嫌でしょ?」

「言ったな」

シャクティが刀を構え直す。

「しょうがないなー。今回だけだよ」

さっきまでと同じようにシャクティを援護しつつ、サークル外部の狼も狙う。

更には魔法攻撃を抜けてきた狼にはウォータライトクローを振り下ろす。

十数分程で、狼は後退した。

作り出した氷を可能な限り魔力に還元し、ピルムムーリアリスを消すと、周囲には狼の骸が無惨に横たわっている。

「じゃぁ討伐証明部位の回収しようか」

「しっぽ?」

「そうそう」

シャクティが腰の後ろに着けたディアマンタイトのナイフを抜く。

「きつね君。このナイフ使うぞ」

「べつにいいよ? そのナイフくらいなら1日二本作れるから」

「規格外……」

「一応褒められてると受け取っとくよ」

尻尾を回収すると、50本近くあった。

俺とシャクティのスコアは5:3くらい。

「じゃぁ帰ろっか」








森から出ると、第五師団長殿と奥さんが待っていた。

「ただいま。おとーさん」

「おかえり。狼の遠吠えが聞こえたが大丈夫だったか?」

「なんともなかった」

「そうか…。シラヌイ君」

「ゅ? うゅー…」

第五師団長の大きな手で撫でられる。

ごつごつした、戦士の手だ。

お父様? あの人基本魔法使いだから。


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