EX回:第71話<挺身>
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が深いな。
「ブルネイの龍田さんは、同じブルネイの比叡さんを守ろうとして負傷しました」
「……」
緊張する一同。だが彼は続けた。
「幸い、轟沈は免れました」
その言葉に、場にいた一同から安堵のため息が盛れた。
「その後は美保の飛行艇の攻撃によって敵を押し返しました」
「なるほど」
私には技術参謀の顔が思い浮かんだ。
続けて彼は微笑んだ。
「秘書官……あの女性が上陸後に直ぐに車を手配して龍田さん(2号)は秘書官と共に直ぐにブルネイの鎮守府へ搬送されました」
(彼女には、いろいろお世話になるな)
私はホッとした。ブルネイの司令も安堵している。
私はふと寛代に聞いた。
「他の艦娘は、まだ現地の……岸に居るのか?」
「……」
やや間があってから寛代は黙って頷いた。
私は川面を見渡していった。
「まぁ、戦闘は終わっているし、このブルネイ軍の内火艇なら、さほど時間もかからないだろう」
「……」
こちらを見上げて指示を待つ彼女に私は伝える。
「私たちが到着するまで、美保の艦娘たちには待機するよう指示だ」
彼女は黙って頷くと、ブツブツと通信を始めた。
まだ船内には重苦しい雰囲気が漂っていた。実際には数分だったかも知れないが、その場の誰もが、実際より長く感じただろう。
「ごめんよ、ごめん」
暗い河を見つめながら船縁に寄りかかって呟く伊勢が印象的だった。彼女は量産型だからな。仕方がない。
「そんなに気を病むな」
ブルネイ司令も、彼女に近寄り肩を抱く。こういうことが自然にできるのが彼の特技だ。他の指揮官がやったらセクハラになるだろう。
そんなブルネイ司令に寄りかかって身を預ける伊勢。戦艦なのに、とても小さく見えた。
(なんとか支えてあげたいな、この娘も)
美保の日向とは経験値が違うとは言え、姉妹が逆に感じられる。
私は量産型の彼女たちが不敏に思えた。
いきなり生まれ出て演習とは言え、直ぐに戦闘に参加させられたんだ。
(かと思えば息つく間もなく今度は実戦に近いゲリラ戦に巻き込まれた)
ここが軍隊である以上は量産型であっても艦娘は兵士だ。能力の有無を言わさず戦闘に駆り出される彼女たち……その運命のイタズラを今は、ただ恨むしかないのだろうか?
(艦娘とは言え彼女たちの置かれた境遇は、あまりにも苛酷だ)
……だが厳しいが、これが現実だ。
軍隊である以上、配置された位置を死守する以外に選択肢はない。ポジションを外れること即ち死と同じだ。それが兵士の運命。指揮官とて例外はない。
「まともな人間なら、気が狂うな」
私は呟いた。対岸の街の夜景が、ゾッとするほど輝いて見えた。
(何のために私は、そして艦娘たちは戦うのか
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