第一章 護れなかった少年
第三十七話 終幕
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ろう。
......だけど、それはどうしようもないことだ。今は、少なくとも疑われようとも嫌悪されるよりマシなのだから。
吐き気を催すそんな嫌悪されることへの嫌悪感を必死に押しとどめ、彼女に笑いかけ、おちゃらけた様に手を叩く。
パァン、と大きな音を立つと彼女はビクッとしたようにこちらを見る。しまった。音によるショックとか考えるべきだったか。やってしまったことはしょうがない。そのまま僕は語りかける。仮面をかけて。
「さっ、何時までもここに居ても仕方無い。せっかく帰ってこれたんだし、取りあえず宿に戻って今日は休もう!! これからのことは明日話そうよ」
「......そうだね」
彼女は、そこで漸く、僕と眼を合わせ、嗤った。その笑みの意味はわからない。自嘲なのか、それとも元気に見せるためか、元気になるためか。僕にはわからなかった。
それでも、漸く彼女が眼を合わせてくれた。それだけで僕は嬉しかった。元の関係には戻れないだろう。それでも、それに近しい所までは戻れるかも知れない。そんな希望が見えたから。
これで。これで助かったんだ。結果的には護れたのはメイだけだった。それでも護ることは出来たんだ。
僕は舐めていた。僕は侮っていた。僕は愚かだった。僕は見えていなかった。見抜けていなかった。分かっていなかった。考えていなかった。思い込んでいた。これで終わりだって。甘かったんだ、全部。アイツを計り損ねていた。今ではもう遅すぎる反省。今ではもう遅すぎる後悔。黒はキャンパスに僅かに残った白をも浸食していく。全てが塗り潰されていく。
「あ、ごめん。メールきたからちょっと待ってて」
「うん? 了解」
「ごめんね。誰から......。――ッ!?」
「メイ、どうしたの? ......あれ、僕にもメールだ」
『
さぁ、メインディッシュの始まりだ。
Poh
』
悪夢はまだ、終わっていなかった。
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