第一章 護れなかった少年
第三十七話 終幕
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間にか新しいアイテムが......。《ランカー・インゴット》......聞いたこと無いな)
取りあえず今考えても仕方無い。予備の刀を装備して腰に佩き、メイにポーションをのませようとするも中々のんでくれない。数分掛けて漸く、飲ませることに成功した。ここまで来ると、漸くメイも自我をある程度取り戻せたようで、此方の言ったことに「......うん」と反応するようになっていた。
「メイ、取りあえずここを出よう。立てる?」
「うん......」
そう答えるも、メイの動きはやはり鈍い。まだ走ることは勿論、普段通り歩くことすら不可能だ。しかも意識はしっかりしていない。これでは真っ直ぐ歩けるかすら不安だ。仕方無いか......。
漸くフラフラと立てた彼女の手を掴もうと手を伸ばす。
「ほら、手を貸すから――」
「イヤッ!!」
手が触れるか否か、その瞬間に思いっきり手を払われる。彼女は思いっきり振った手に引っ張られてそのまま倒れてしまうが、そこに手を差し伸べることは......出来なかった。
やっぱりか。しょうがない。そう心の中で呟くも、感じた感情はちっとも消えてくれない。感じる鈍痛から眼を反らし、転んでしまったまま立ち上がる気配の無いメイの方に向き直る。
「大丈夫? ほら立って。ここから出るよ」
「......うん」
さっきよりかは若干速く立ち上がるメイ。立ち上がっても先ほど程はフラフラしていない。これなら普通に歩くくらいは大丈夫だろう。
それから、僕らは1時間かけてどうにか迷宮区を抜け出した。ハク、ブライ、セン、アンスに関しては、メイの口から死亡を聞いた。わかってはいたけど、実際に聞くと、とても重い物が心にのしかかる。
ズッシリと、まるで岩のようにのし掛かるその重さにどうにか耐えながら、僕たちは最寄りの街へ向かう。
幸いなことにモンスターにも、そして人にも狙われることはなく、ボヌールの街に着くことが出来た。突如ドッと襲ってきた疲労感に抗うことは出来ず、衆目も気にせず、その場で膝を突く。抜けていく力とは反比例して安堵が満ちていく。
「メイ、街についたよ......」
「......そう、ね......」
予想していなかった返答に思いがけず振り返る。元気とは言えない。元通りとは言えない。それでも先ほどまでとは違い、しっかりと日本の足でしっかりと地を踏みしめ、眼に少しながら力を取り戻したメイの姿があった。
「......メイ」
「......ごめんなさい。私酷いこと......」
「大丈夫。仕方無いよ。あんな状況だったし」
にっこりと笑顔を作って答える。だが、彼女は頑なに眼を合わせようとしない。違うのだ。行為は省みた。でも、心の中の疑心は消えていないのだ
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