貉(むじな)共の悪巧み・2
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
艦娘ってなぁどいつもこいつも手品が得意なんだなぁ。えぇ?」
「なんのことかね?」
「惚けんなって。そっちの加賀がやってのけた『艦載機の拝借』の事さ」
不意打ち気味に核心を突く。が、相手も百戦錬磨の化け狐……ピクリとも顔に出ない。だが、部下の教育は甘かったらしい。
「……顔に出てるぜ?そっちの加賀さんよぉ」
俺がニヤリと笑ってみせると、ニライカナイの加賀の眉間に皺が寄る。加賀という艦娘は表情の変化に乏しい。だが、裏を返せば読み取られ難いが故にあまりポーカーフェイスの練習をしている奴は少ない。そして俺は何の因果か『加賀』という艦娘にとても縁が深い……その乏しい感情の揺らぎが読み取れる程度には。ウチの加賀は俺にデレッデレだから、顔が無表情でも態度が雄弁に物語ってくれるんだがな(苦笑)。
「別に隠しているつもりも無かったのだけれど?」
「おやおや、開き直りかい?」
「あの状況下では最善の選択肢だったと自負しているわ」
確かに、あの状況下で奴に完全なトドメを刺すにはあれがベストの選択だろうさ。だが、それで全てが丸く収まるなら社会なんて物は成り立たない。
「それでも、だ。ウチの艦載機を強奪した上での無断使用……これは犯罪だぜ?」
そう問い掛けながら鉄板の上で躍るステーキにコニャックを振りかける。途端にゴウ、と火が上がり俺とニライカナイの加賀の間には炎の壁が出来る。
「どう落とし前付けてくれるんだい……えぇオイ」
「やれやれ……まるでヤクザね」
「それが日本の社会構造ってモンだ。今でこそ経済優先な所があるが、日本人ってのぁ昔から『面子』が大事だったんだからよ」
「それを軍組織にまで持ち込むのはナンセンスだわ」
「それはどうかねぇ?実際、お前さんの上司である提督は俺への詫びのつもりでそのビビり娘を俺の所に引っ張って来たんだぜ?それは所謂『顔を立てる』って事なんじゃねぇのかい?」
「全く……貴方もウチの提督も、減らず口が過ぎるわね」
執務室内に、緊張が走る。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ