吹雪く水月6
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既に手遅れだったか、強烈な爆音とフラッシュが男を襲う。魔鉄の加護と咄嗟に顔を庇ったことでダメージは余りなく、更にそこで男は初めて投げられたのが本物のグレネードではなく防犯用のものであることを認識した。
しかし、既に遅かった。
『そうら、狙い通りの場所に来たぞ!!』
「食らえオラーーーーッ!!」
気が付いた時には、その少女は肩に構えたバズーカの引き金を絞り、視覚的には見えていない筈の姿へ正確無比に射出された魔鉄の網が眼前に広がっていた。
刹那の迷いだった。しかし男は任務より重要に感じていることがあり、それが判断を早めた。
男は網に対して背中を向け、腰に背負っていたアイテムを瞬時に機動させた。それは逃走用に用意していた瞬間組立式ハングライダーだ。広がるハングライダーの翼が網に引っかかり、そのハングライダーを外すことで男は自由になる。貴重な逃走アイテムを犠牲にした隙に踵を返した男は、突然の襲撃者をとにかく無力化しようと少女に襲い掛かる。
右手にショックガン、左手にスポイトナイフ。
少女一人、なんとかなると思った。
そこにもし誤算があったとすれば、彼女が民間品とはいえ強化外筋スーツと魔鉄電光ロッドまで持って武装していたこと。そして、彼女の顔につけられたゴーグルが『鉄脈術による外部からの操作』によってこちらのステルスを見破る戦闘補助システムとして機能していた事。
「ぐっ、素人同然の癖に何故見切れてる!?」
「優秀なナビゲーターが外から色々やってくれるのさ!!」
髪色からして恐らくは魔女であろう少女の動きは決して驚異的ではなかったが、決定打をすべて排除してくる。しつこく、かつ、なかなか隙を見せずに攻撃が捌かれる。なんとか意地で振ったナイフが少女の耳を掠ったが、切られた側が気付かないほど微細な傷で怯みもしなかった。
そして――そのナビゲーターも曲者だった。
『いいのか、こんな小娘に構ってて。もうじきもっと危険な奴がくるぞ。この学校に住んでる、生徒の事が心配で心配で堪らない心優しきバケモノがな』
「あの人が町に到達したらお前も、下で戦ってる人もおしまいだぜ?知らせにいかなくてもいいのかな〜〜?」
男は、そういうことかと歯噛みした。
男の鉄脈術は電子製品の類を生命体のように意思疎通の出来る存在とするのだが、『動け』『止まれ』といった単純なお願いは出来ても、複雑なものは難しい。同僚たちに危機を知らせるにはこんな時の為に用意した、生命体に見立てられない魔鉄製の通信機を使うしかない。
だが今は戦闘中だ。通信機に手を伸ばす余裕がない。そろそろ効果の切れる術の再発動もしなければならないので優先順位の問題もあった。
しかも、このビルは先ほどフラッシュグレネードを、今はスモークグレネ
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