吹雪く水月5
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、貴方は私の眼に映る私!!精錬許可、私は貴方の眼に映る貴方!!
振鉄――消ゆることなかれ古の灯よ、囲い崇めし百世不磨の不終神炉!
――『護炎の櫃』ッ!!」」
彼女たちは常に魔女と製鉄師、二人同時に詠唱を行う。彼女たちのトリガー行動とも呼べるそれに呼応し、エイジに劣らない振鉄の強烈な歪む世界がA.B.を通して世界に悲鳴を上げさせる。
二人の周囲に魔鉄器のリングが規則的に展開され、内から放射された熱線がリングを糸通しのように繋いで彼女たちを覆う。炎の壁――触れるものすべてを完全融解する超攻撃性の防壁。それが『護炎の櫃』だ。
展開完成はギリギリだった。ナンダの投擲でエイジの張った氷の防壁は見るも無残に粉々にされ、その破片が瓦礫もろとも周囲に飛び散る。しかし古芥子姉妹の炎の壁は、そのすべてを蒸発させることで防いだ。
「お前らも守りに入ったか!盛り上がってきたのはいいけど拒絶の精神は人間を成長させんぞ!!」
「暴力に訴える人を拒絶するのは人としての防衛反応」
「そーだそーだ!」
「犯罪者のくせにー!」
「あっははははははははは!甘いなぁ、その精神を超えた先にこそ心と心の会話があるんだぞ!」
心底楽しそうな快活な笑いを飛ばしながらナンダが拳を引くと、先ほど粉砕された氷の破片が操られるように宙を舞ってまた四人に襲い掛かる。今度は古芥子姉妹よりエイジたちの守りの方が不安定になってしまった。
「じゃあ、そろそろこいつも使うかな?」
「げ……!!」
まるでお気に入りのファッションでも選ぶように気軽に、ナンダは『彼女の頭上で停止していたビル』を掴み、構える。表面に魔鉄素材を使った世界で恐らく最も巨大な棍棒だ。通常あんな大質量の物体を振るとなると膨大な空気抵抗も生まれる筈だが、そんなことさえ感じさせない豪快なスイングが別のビル諸共4人に襲う。
「上に逃げるよー!」
「舌をかまないよう口を閉じて!!」
古芥子姉妹は炎を下方に噴射することで擬似的なジェット飛行をして躱し、エイジは氷柱でほぼ射出するように飛び、その真下を巨大な破壊が通り過ぎていく。
ナンダの攻撃はそのすべてが無差別殺人に特化したような広域性を持っているようにエデンには思える。それは、もともと広域攻撃の性質を持ったものというより、元の性質に応用を利かせて空間攻撃的なものに変えている感じがする。
エデンは、彼女が「能力の応用で風を操っている」と自称した言葉が、真実ではないかと思い始めた。恐らくはエイジも最初からその情報を基
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