吹雪く水月3
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でるな。ようし、返すぞぉ!!」
心底楽しそうにナンダは拳を振りかぶり、氷を思いっきりぶん殴った。
瞬間、ゴガァンッ!!と鈍い音を立てて氷塊がこちらに飛来する。あちら側に引っ張られたときの三倍近い速度、当たれば普通の人間は確実に死ぬ。
思わず恐怖に目を瞑りそうになるが、エイジは冷静に前に出た。
「いらない」
瞬時に氷の塊の両端を支えるような氷のレールが目の前に現れ、氷塊がそのレールにぶつかると同時に滑り、頭上を越えていった。
「へぇ!そう凌ぐのか!!最初の壁と同じ方法でやるのかと思ってたよ!」
「それだとまた壁が壊されて貴方に投擲武器を二つ進呈することになる」
「考えてるのはいいことだ。相手と戦うことは、相手を理解しようとすることでもある!こっちも楽しい気分だぞう!」
「美音としては一撃ケーオーされて欲しいんだけど?」
エデンとエイジの頭上から特大の熱光線が発射されて一直線の路地を貫く。美音の鉄脈術、『浄道灼土』だ。エイジの氷をも瞬時に蒸発させる振鉄の一撃は、それだけで必殺になりうる熱を秘めている。いくら魔鉄の加護があるとはいえあの一撃を受けて無事で済む筈がない。
だと、いうのに。
「おーおー、すげえ熱量!あいつらもやるなー!」
「ノンキ言ってないでとっとと逸らしなさい!」
「あいよ、了解!」
ナンダが両腕を縦方向に車輪のように回し、熱光線に合わせてアッパーを繰り出す。
ただの拳、熱光線を殴れば拳が焼けるだけの筈の行動。ただしそれは、彼女が製鉄師でなかったならばの話でしかなく、そしてエデンの不安は現実のものとなる。
「そぅいやぁぁぁッ!!」
ブワッ!!と路地を突き抜ける突風。咄嗟に目を庇おうとした瞬間にエイジが風を逃がす三角型の氷を展開する。視界を遮らないために恐ろしく透明度の高い氷の壁――その先にいたナンダの拳が『熱光線を空に逸らした』のを、エデンははっきりとその目で見た。
同級生の他の誰もが、絶対の破壊力を持つ美音の炎を躱すしかなかった。ただ担任であるリック先生の出鱈目なパワーでしか逸らすことの出来ない、それほどの埒外の火力を、目の前の正体不明の女は苦も無く逸らし、ふぃー、と楽しそうに息を吐く。
「準備運動もこの辺にしとくか?この路地は互いに戦いにくいし、魔鉄仕込みの壁だから壊すのも面倒だ。いっくぞー……!」
肌を刺すような警告を本能が発する。周辺のABが呼応する。
何が起きるのかは分からない。でも、まずい。
『Mining, your blood mine,trine 寄せては返して波と風。運べや運べ、踊々の大地をなぜる空の旅路――!!』
ま
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