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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
吹雪く水月2
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でバレたんだろうなぁ」
「聖観学園を甘く見過ぎたわね。ここに来るまでに3人も正規製鉄師が襲撃仕掛けてくるなんて……ま、返り討ちに遭っては世話ありませんけど」
「こりゃ援護は過信しない方がよさそうだな。えーと?今回確認するのは二人だっけ?」
「いるだけ全員よ。ヘマしないこと」
「するかよ。学生だろうが製鉄師は製鉄師だからなぁ……」

 恐らくは二人、両方が女性の声。曲がり角からひょっこり顔を出すそれに――エイジが容赦なく冷気を放出する。
 瞬間、放たれた冷気が全て弾き飛ばされ、中から悠々と二人の人間が出てきた。

 片方は、ノースリーブのシャツにぶかぶかのズボン、そして民族的な刺青の入った長身の黒人女性。どう見ても日本人ではないローポニーの女性は、不敵な笑みを浮かべながらもう一人を見やる。

「ほらな?警告なしの先制攻撃……いい教育してるぜ。日本はいいところだ」
「もう、なんでこのわたくしのパートナーがこんな辺境の野蛮人なのかしら……」

 心底嘆かわしいと言わんばかりに頭を横に振るのは、これまたどう見ても日本人ではない金髪碧眼の少女。その姿はどこか町とは浮いたふわふわのドレス姿で、戦闘の現場にどこまでも似つかわしくない。十中八九、魔女で間違いないだろう。エイジは3人といったが、もう一人は今の所見当たらない。

 さて――もうエイジが先制攻撃と取れる行動をした時点で今後の展開が知れる気もするが、エデンとしては一応確認位しなければいけない。

「えーっと、お二方はいわゆる不法侵入者、兼現行犯の犯罪者ってことでよろしいんでしょうか」
「おっ、わかってんじゃ〜ん!ええと、あれ誰だ?」
「もう黙ってなさいバーバリアン女」

 げしっと製鉄師と思しき側の足を蹴った少女は、堂々たる面持ちで一歩前に出る。

「生憎と貴方方に名乗る必要も感じえませんので、手っ取り早くいきましょう――『これから貴方方を襲いますので、全力で抵抗しなさい』。無論、勝ち目などありはしませんけどね」

 二人を包む異物感が、壮絶な威圧感へと変貌する。
 底無しの穴に落下したような感覚、覇気か殺気か判別のつかない力が仮想血液を通して空間を侵食し、エイジの『場』とぶつかり合って空間が軋みを上げる。今になって気付いたが、黒人の女の両手にはメリケンサックのような――恐らくは魔鉄器が嵌められている。彼女はそれを強く握って叫ぶ。

「Mining, your blood mine!!」
「Loading, my blood yours!!」

鍛鉄(トライン)――『グラフィタシィ』ッ!!」

 完全なる臨戦態勢。全力で抵抗しなければ、どうされてしまうのか――想像力という恐怖を、歯を食いしばって抑え込む。エイジは「ここで戦う」ことを瞬時に選んだ以
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