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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
吹雪く水月2
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危機に陥ったときに丸腰にならないように支給したんじゃないかと、僕は思う」
「はえー……心配性だとは思ったけど、思った以上にだね」

 子供が心配でしょうがない親みたいな事をするなぁ、と意外に思う。笑わないしぶっきらぼうで厳しいときは厳しくて、しかも鬼のように強いあのリック先生も、心配だけは人並みだというのがイメージに湧きづらい。ルーシャ先生がそれを強く望んだのなら判るが、どうもあの魔女先生はそういうタイプではない気がする。

「ま、よっぽどのことがないと使う事なんて――」
「射出承認」
「……え?」

 聞きなれた声でエイジがそう呟く。その理由も意味も一瞬分からずに思わず彼の方を見るエデン。周囲も驚いたのか、後ろにいる古芥子姉妹も、ちょうど曲がり角を曲がろうとした永海も足を止める。
 その止まった一歩が、運命を分けたのかもしれない。

 直後、曲がり角の先から凄まじい衝撃波と瓦礫がぶちまけられて道路を粉砕した。
 チッ、と背後から何かの掠る音が聞こえると共に、永海が悲鳴を上げて飛び上がる。

「どわぁぁぁぁぁッ!?今、今カカトの裏なんか掠った!!掠ったぞ!!」

 それは、先ほどまで平和だった町に全く以て不釣り合いな、明らかな戦闘行為の余波だった。何が起きたのは分からないが、土ぼこりが激しく先の視界がつかめない。
 「よっぽどのこと」による鮮やかかつ迅速な活動の発生を感じ取ったらしいエイジは、さっそく空から送られてきたBISから魔鉄器を素早く取り出し装着すると、こちらに手を伸ばした。反射的に握ると、すぐさま詠唱をされる。

「Mining, your blood mine, Warmong――『守護氷華(ハーデンベルギア)』」

 返句を待たない一方発動。同意も説明もなしにこれを行ったのは、もうエデンの返句を待つ余裕すらないという事か。冷気を纏ったエイジは他四名に普段なら絶対にしないであろう「指示」という行為を自ら口にした。

「四人とも下がって。美音は魔鉄器呼んで、永海は逃げて。数は三人……最悪の場合は三人とも製鉄師」
「………あっれー?この町って製鉄師のケンカとか起きたっけ美杏〜?」
「………あっれー?むしろそういうの絶対起きない系の場所だったと思うんだけどな〜?えっと、アレやる?」
「やってる暇も惜しいからもう魔鉄器呼んじゃった」

 こんなときでもキメポーズをやるのかと思いきや、仲良くタグを握って思いのほかサバサバ対応する双子。そしてエイジの言葉に戸惑いながらも来た道を後ずさっていく永海。メンバーの中で唯一パートナーのいない魔女である彼女がここにいては危ないだけだろう。

 と、永海が走り出す頃に曲がり角から異様にのん気な声が聞こえる。

「ちぇー、頑張って懐まで潜り込んだ筈なのにどこ
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