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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
吹雪く水月
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すぐに手元に魔鉄器が届くんですか?」
「そういうコト!といっても魔鉄器を管理する施設に預けておかないといけないんだけどね?じゃあリック、実演どうぞ!」
「ああ。念のため少し離れてろよ、お前ら」

 リック先生は学内都市の広場に足を運ぶ。
 ちらほら人通りが見えた通りと違って広場は今は誰もない。
 訓練のために貸し切っているそうだ。
 リック先生は広場の中心に来ると、懐から小さな金属の板――ドッグタグに似ている――を取り出してぐっと握った。

「射出承認」

 ……………。

「終わりだ。国内ならばどんなに遠くとも1分以内には魔鉄器が届く」
「え、そんだけなんですか?なんというか、盛り上がりに欠けますね」
「暁、お前なぁ……今急いでるんだって時に面倒な手続き踏まないと呼べないんじゃ不便だろうが。なにか?俺がこの伝票(タグ)を空高く掲げて『クリスタルドラグゥゥーン!』とか叫べばよかったのか?」
「その方が断然盛り上がると思います!」
「……まぁ、とりあえず明確な意思を持って呼べば来るから、自分が使うときは雄叫びなりポーズなり好きにするといい。言っとくが面白半分に呼んでも反応しないからな」

 割かし呆れられた。ダメなのだろうか。
 ちなみに先生の言うクリスタルドラグーン!というのは今日本皇国で大人気のロックバンド「クリスタルドラグーン」略してくりドラがライブ開始直後に叫ぶ奴である。ただ自分たちのバンド名を叫んでいるだけなのだが、世間ではむやみやたらと子供に人気だ。エデンも割かし好きである。

 と、隣のエイジが空を指差した。

「来た」

 何が?と思って空を見上げると、何がかキラリと光り、次の瞬間には文字通り目にも止まらぬ速さでドガァン!!と大地に――衝突せず、落下直前でピタリと止まった。それは流線形で、金属製で、大きさは3メートル近くある……なんというか、そう。まるで子供の書いたロケットをそのまま小型化したような物体だった。

 ロケットの胴体がバカリと開いて中から見慣れた鉄塊が取っ手から落下し、リック先生がそれを拾って引き抜くと、ロケットはまるで時間が巻き戻るように落ちてきたラインを辿って空の彼方に消えていった。

「これがBISの使い方だ。あの魔鉄製ロケットと伝票(タグ)で一対となる。基本的には軍などのプロ用システムだが、国の認可した民間BISも存在する。金はかかるがな」

 そう言うと先生は再びロケットを呼び出し、その中に魔鉄器を放り込んで元の場所に返した。
 そこからはざっくりとした質疑応答になる。

 まず、何故あれほど速いのに音が鳴らず風も起きず、しかも落下前に停止して元の場所に戻るなんて真似ができるのか。これについてはロケットそのものが魔鉄器であり、発射装置も魔鉄器という魔鉄
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