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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
滴る氷柱2
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い繋がりを感じさせる言葉だった。
 人は好きになるより嫌いになるより、相手に対して無関心である時が一番楽だと思ったのかもしれない。互いに互いの邪魔をしてほしくないから、その共通認識だけ共有できれば上手くいく。多分二人は製鉄師の関係の中でも特殊な信頼関係を持っているのだ。
 エデンはなんとなく、少しだけ二人の関係の謎が解けた気がした。

「……でもさー。一緒にいて会話がなくても苦痛にならない関係って何気に友達よりハードル高くない?美音はちょっとそれ耐えられないなー」
「あら、そうかしら。わたくしはあざねと会話せずにいても平気ですけれど」
「お嬢様を楽しませる為のトークは毎日30は用意しております。お暇でしたらいつでもどうぞ」
「今は遠慮しておきますわ。暁さんもそうではなくて?」
「うーん、私的にはエイジと一緒にいるのがもう生活の基本になってるし。だいたいエイジは喋るのヘタだからむしろ会話が続く方が違和感かなー」
「……ごめん」
「いや怒ってないからそんな沈んだ顔しないの。ほれ、ムニー」

 しゅんと沈むエイジの頬を指で伸ばして無理やり笑顔にする。
 だいぶ変な顔になって笑ってしまったが、笑った私を見てエイジも笑った。

「……この天然おとぼけカップルは隙あらばいちゃつくよねー、美音」
「……ホンット周りの目とか気にしないよねー美杏。あ、ところで天馬(まーくん)と朧っちはその辺どうなの?」
「え?」

 それまで会話に加わらずにノートのチェックをしていた天馬は朧とともに顔を上げ、数秒考えたのちにこう答えた。

「朧が黙ってるときはだいたい理由があるからなぁ。例えば機械関連で分からないことがあるけどそれを悟られるのが恥ずかしくて黙ってるときとか――あ痛ぁッ!?」
「………(真っ赤な顔で天馬の横腹をつねる朧)」

 とりあえず、仲が悪いようには見えないのは確かだった。
 そういえば、聞いたことはないけどこの二人の付き合いは長いのだろうか。鎮守六天宮という浮世離れした立場の人間と、そんなに特別な人という感じのない天馬。今度ヒマになったら馴れ初めでも聞いてみよう、とエデンは思った。
 
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