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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
滴る氷柱2
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、周囲は納得といった顔だった。

「暁家はどこまでも仲良しだなぁー。俺ん家はさ、俺のジェンダーのことで一時期離婚しかけたかんね。今はなんだかんだでヨリを戻して落着したけど」
「うわぁ、やっぱ大変なんだー性同一性障害って。いじめとかヤバイって噂は聞いてるけど、ぶっちゃけマジなの?美音気になるー!」
「そらもう大変よ」

 美音の質問に永海は過去を思い出すように腕を組んで頭を傾ける。

「小学6年くらいには心は男だったんだけど、馬鹿正直にはっちゃけたらもう、すごいぜ。担任が真っ先に馬鹿にしてくるから男も女も周囲全部敵になるんだもん。ぶっちゃけこのクラスでも悟以外の全員に虐められるぐらいの覚悟で入ってきてんだぞ、オレ」

 からからと快活に笑う永海だが、さらっと明かした過去が重すぎる。
 担任が率先して虐め。クラス全員敵。エデンにとっては漫画の世界だったものを、現実に経験している人間が目の前にいて、それを笑い事のように語っている。全然笑う気分になれなかった。どうしてそんな風に笑い事に出来るのか――言葉が出ずにいると、美杏が話を変えた。

「そういえば心は男なのに悟っちと契約したのは何でなの?」
「そりゃ単純だ。悟が俺の契約相手候補の中で一番俺に対して無関心で、フェアだったから」
「無関心……?ちょっとよく分かんないなぁ。確かにさっきから話に全く参加せずに相変わらずなんかの情報収集してるけど……悟っちはどうなの?」
「……製鉄師だから仲よくしようとか付き合おうとか、煩い魔女が多くて面倒だったからな。俺に関心がなく、最低限の協調性のある奴なら誰でもよかったんだ。すると同じ条件でパートナーを探してる永海に会った」
「ま、女の製鉄師はどうしても受け入れてくれるヤツがいなくてよ。男もだけど、可愛いとか言われて女の子に可愛がられるのも嫌だったからどーしたもんかと思ってたら、ほれコレよ。初対面の時も人のことどーでもよさそーにして、性別の話しても『あっそ』の一言。なんつーか、ビビっと来たね」

 何がどうビビっと来る要素があるのか、理解が及ばない。
 八千夜に至っては若干不快そうですらあった。

「わたくしならそんな無礼者を前にすればビキっと来ているところですが」
「お嬢様、お静まりを」
「まぁ普通ムっとするわな。でもさ、その時の俺は若干人と話すのが嫌になってきててさ。で、思った。コイツと契約すれば別に親しく喋らなくてもやっていけるんじゃねーかって。だから契約前に鉄脈とは関係なく契約をしたんだ。互いに互いの詮索をせず、深く関わろうとせず、互いに最低限協力し、性差別はしない」
「俺にとっちゃその方が都合がよかった。以来の付き合いだ。無論、あくまで製鉄師と魔女という関係でな」

 互いに特別言葉を交わす訳でもないのに、二人の間に強
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