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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
滴る氷柱
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なよ。キショイからな」
 
 天馬の頭の中では、「嫌なら見るな!嫌なら見るな!」と言いながら全裸で八頭身のアスキーアートが踊り狂う。なるほどこいつは、確かにぶん殴りたい、と天馬は思った。

 性差やLGBTに優しい社会というのは難しい問題だが、その問題の本質は「やりたい人」と「受け入れられる人」、そして「受け入れられない人」の間に横たわる溝が埋まらないことにこそあるのかもしれない。
 


 = =



 記録復元、開始。時系列、固定時間軸「和光37年4月」より170日と12時間前。

 座標、関係者以外立ち入り禁止区画――氷室家廃墟。記録内容、会話。


「電化製品なんぞ調べて何が出るんだ?冷蔵庫の中身とかならわかるが……」

「製品の購入ルートとか、パーツに欠落がないかとか。前に魔鉄加工師が電化製品から魔鉄を抜き取って不正に魔鉄器を作った事件とかありましたし。あとはBSICチップですね」

「BSIC……ああ、魔鉄内臓型ICチップか。魔鉄が絡むとなんでも名前がややこしくなるな。で、そのBSICとやらは何で電化製品に入ってんだ?」

「メーカーによりますが、月に一回このチップから本社に使用状況のデータが送信され、いつどれぐらいどんな家庭で電化製品が使われてるかという統計データを取ってるんですよ。今じゃどこの会社も普通にやってます。ま、裏ではこの通り日本の監視社会化に一役買っていると……あったあった。これの型番をメーカーのデータベースと照合すれば、氷室家の生活ってやつが多少は見えてくる筈です」

「記録にも映像にも残らないほどの影響力がある鉄脈術……正直そのレベルとなると外事も追えないレベルの危険人物だが、データと物証だけは俺たちを裏切らなくて助かるぜ」

「魔鉄器の利用法がガラパゴス化してますからねぇ、日本って。伊達に情報戦を展開して魔鉄後進から今に至るまで海外の目を欺いてきただけのこたぁあるってことですね」



 記録復元、終了。情報を記録しました。

 次の情報復元を開始します。復元完了まで、あと――。
 
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