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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
滴る氷柱
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やっぱり後でお説教よ、美音」
「えー……お手柔らかによろしくお願い致します」

 八千夜の声マネで誤魔化そうとする美音を冷たい目で見つめる美杏をよそに、八千夜は思う。

 元来ああいう人なのか、それとも気を遣ったのか、どちらにしろエデンは芯の強い人間なのだろう。そのことを少し嬉しく思う気持ちもあり――同時に、だからこそ自分の心の内をそのうち覗かれてしまうのではないかという微かな恐怖も覚える。

「お嬢様」
「ッ……なに?」
「あざねはいついかなる時でも、お嬢様の味方です」
「……ありがとうあざね。でも平気です、少し考え事をしただけなので」

 首を振り、八千夜は自分の顔をいつもの優雅な顔に戻した。

 大丈夫だ。演じていれば、いつかそれが事実とすり替わる日が来る筈だから。



 一方、男子更衣室。

「ったくよー。女子更衣室なんか行ったらハズカシーだろ。オレはどうせ女の子の裸見るなら、見てもいいよってちゃんと通じ合ってから見たいんだよ。女の体を利用してみたいなのは卑怯だろ?」
「その割には八千夜さんの格好に興奮してたけど」
「見せつけてくる分はウェルカムだしな」

 エイジと永海は何事もないように隣り合って着替えている。

「って、なに普通に男子更衣室にいんだよ浜丘ぁ!?お前体は女なんだからマズイだろ!!」
「まぁそうカッカしてやるな、凪原。男の心を持った女としての権利の主張なんだ」
「そんなこと言ったって……!」

 悟に諭され、俺がおかしいのか、と天馬は頭を抱える。
 男子生徒三名の筈のクラスで男子更衣室に女が一人我が物顔で着替えているという異常事態に、こいつらは何故平気な顔で順応しているのだろう。
 永海は口調も行動も嗜好も男だが、その顔は面識のない別のクラスの生徒がラブレターを送るほどには美人である。スタイルも魔女の中ではいい方だ。そんな女が、心は男と言われても後ろで着替えているなどと考えるともう天馬は緊張やらなんやらで気が気ではない。

「つーか永居!お前なんでそんなに平然としてんだ!!」
「ジェンダーの差別はしない。永海との間に交わした契約の一つだ。だから見たくなけりゃ俺は見ないだけだ。お前も見ないようにしてるんだから問題ないだろ」
「エイジぃ!お前に関しては何を普通に隣り合って着替えてんだ!女の下着姿とか見るの抵抗ないわけ!?」
「別にない。あ、でも普通は興奮するものなんだっけ?紗璃亜(サリア)姉さんもそういうのは気をつけろって言ってたような……」
「何言ってんだ。俺とお前の仲だろ?」
「そうかな?そうかも……じゃあいいのかな?」
「畜生ォ!まともな男児は俺だけか!?なんか俺だけ一人で興奮してるみたいなこの空気すげー納得いかねぇ!!」
「見るのはいいけど欲情すん
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