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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
滴る氷柱
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んだって思って」
「おおう、また出たよ二人の両想い」
「茶化さないでよ美杏、真面目な話みたいだよ」

 エイジは、エデンを守る。愚直なまでに守る。

 前に一度、二人で歩いているときに不良に因縁をつけられたことがあった。エデンはあまり気性が穏やかな性格ではないので売り言葉を買ってしまい、不良に手をあげられた。
 その時に割って入って代わりに殴られたのがエイジだ。相手もOIだったため加護を突き抜けて拳はエイジの骨肉を打ち付けた。でもエイジは痛いともいわず、引きもしない。その後不良が集まって数が増えて、私をエイジから引きはがそうとしたとき、はじめてエイジは相手に攻撃した。力任せで上手とは言えなかったが、不良たちがギョッとするほどの力で人を投げ飛ばした。それしか手段がないと、その時初めてエイジは判断したのだ。

「エイジ、自分から手を出そうっていう考えとかないんだよね。私を守るっていうけど、守ることしか考えてないから先に脅威を排除しようとか思わないの。だから自分が痛くてもお構いなし。自分を守る勘定が出来ないの。だからお姉ちゃんでパートナーの私がエイジのことを勘定しなくちゃいけないでしょ?」
「危険な場所にはそもそも近寄るな、って先生も言ってたもんねー」
「つまり危険な八千夜(やっちー)にも近づくなと?」
「……美音。後でお説教よ」
「えっ、あっ、いやいや今のはちょっとしたブラックジョーク!というか美杏だってさっきから変な茶々入れてたじゃん!」
「いえ、事実でもあります」

 気まずい空気が流れたと思った瞬間、八千夜はいい機会とばかりに話に乗った。

「私自身、私の中の獣が恐ろしい。ですから暁さん、私が怖いのであれば――」
「じゃあ、頑張って手懐けないとね。これからの訓練、たぶん襲う条件に入ってない私たちと八千夜さんたちはよく組むことになると思うし。お互いやること沢山だね」

 エデンは自分が優秀な魔女だとは到底思えない。思えないからこそ、出来ることはやりたい。
 八千夜もきっと獣としての自分を克服したい思いがあるからこの学校に来たのだろう。
 期間は短い。この際怖いとかなんとかは言っていられないし、怖くて出来ませんなどと情けないことを言ってはエイジにも皆にも申し訳がたたない。ならばやる。それが暁エリカより娘に引き継がれた性根というものだ。

「――、……そうですわね。お手柔らかによろしくお願い致します」
「いやいやこちらこそ。さーて、そんじゃ私先に行くねー!」

 早々に着替えを終えたエデンは、脱いだ服や制汗スプレーをバッグに放り込み、更衣室を出て行った。

「エデンちゃってわりと人の話最後まで聞かないタイプだよね」
「あと、なんかおかず多めに作ったからってお隣さんに押し付けそう」
「それはそれとして
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