皐月の雹4
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技を一つ教授しよう」
次の瞬間、先生は魔鉄器の柄を上にして垂直に持ち上げ、地面に叩きつけた。
ズドンッッッ!!という轟音とともに、リック先生の半径20メートルが地割れを起こして陥没した。
「な――足場がッ」
「このように、近距離をちょろちょろする相手は足場を潰せば機動力を確保できなくなる。移動方法にもよるがな。そして――」
足場が突然崩れたことで着地に手古摺りつつも、獣特有のバランス感覚でなんとか着地を決めた八千夜の目の前に、魔鉄器という名の巨大な金棒が、『死』という明確なイメージを伴って殺到した。
ゴキャアン、と。
鈍い音を立てて、八千夜の体が宙を舞った。
相応の速度で打ち出された八千夜は地面に何度も激突しながらごろごろと転がり続け、やがてルーシャ先生の前でぴたりと止まり、砂塗れになりながら淀んだ目で呟いた。
「……自分が死んでないのが納得いかないのは人生で初めてです。確かにあの魔鉄器、表面が柔らかかったですわ」
「――まぁ、そういう訳だ。いいかお前ら。俺はお前らが暴走しようが束になってかかってこようが、教育上の指導が必要なら戌亥のように容赦なく叩きのめすから覚えておけ」
「「「「「はい」」」」」
全員、即答だった。八千夜と悟も即答だった。八千夜の殺人的な衝動に対する恐怖を物理的に吹っ飛ばす出鱈目なパワーに、エデンたちは無力である。
この日、人類は共通の敵を前に団結した。
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