皐月の雹2
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なのかもしれない。最初に抱いた尊敬の念もなんだか少し削がれてしまった。
「さて、見てもらったところで鉄脈術未経験者にもやってもらおう。この中で使ったことがないのは、契約魔鉄器を持っていなかった2ペアだけだ。先に氷室と暁がやれ」
「「はい!」」
あの病院で盛大にぶっ放して以降、一切使ったことのなかった力。
既に何が出来るかは知っている。氷か冷気か、そのどちらかを放出する力だろう。
エイジの手を握って前に出る。向かい合ってみると、エイジは少し緊張していた。
「どしたの?」
「力を上手く出せなくて、エデンを傷つけないかなって、心配なんだ」
「大丈夫よ、だって最初に暴発したときだって私には傷一つつけずに出てたでしょ?なら無意識のうちにコントロール出来てるのよ。だいたい、守ってくれるんでしょ?」
そういってエイジの鼻先をつつく。戸惑いがちだったエイジは、一度深呼吸し、力強く頷いた。
「うん、僕が守る。やろう、エデン」
「オッケー。それじゃ久しぶりに見せちゃいますか!」
両手を繋ぎ、笑いあう。エデンはエイジのことを疑わず、エイジはエデンの言葉を疑わない。
「掘削開始、雪夜に果てを求めるならば――」
「掘削許可、私が貴方の暁となろうッ!!」
「振鉄――『守護氷華』」
その瞬間――エイジとエデンの周辺が瞬時に氷結し、周辺を覆い隠す程に巨大な数十mもの氷柱が迫り出す。しかしそれは同級生たちを凍らせることはなく、二人に害を為すこともなく、太陽の下に一つの巨大な花のように咲き乱れ、止まった。
「……ね?大丈夫でしょ?」
「うん。もう平気だよ。だって僕が守らないといけないもの」
ハーデンベルギア――花言葉は、運命的な出会い。
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