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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
春の霜3
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してくれ!席が隣だから分かるかもしれねーけど、永居とは契約してっから!」

 既にクールに決めてもこのクラスのツッコミ枠であることは免れなさそうな悟は、言う事だけ言って自分の目の前に置く巨大な本に目を移した。あれもどうやら魔鉄器が組み込まれているらしい。
 一方の永海は、制服は男物、胸はぺったんこ、髪は短く切りそろえてと、男勝りを通り越して既に男装している。ただ、見た目が子供に縛られる魔女の宿命か、性別を間違えるほど男には見えなかった。というか、ぶっちゃけかなりの美少女なので口調とのギャップが凄い。

「ウチらの番だし準備いいー?」
「そんじゃいくよー!せーのっ」
古芥子(こがらし)美杏(みあん)とっ!!」
古芥子(こがらし)美音(みおん)のーっ!?」
「「ジェミニ☆プリティ?シスターズでぇ〜〜〜すっ!!」」

 最後の二人は、凄くテンションの高い双子の姉妹だった。
 ただ、どちらが魔女なのか見た目では全然わからない。どうやらまだ外見の成長が止まっていない魔女らしく、二人の身長も顔立ちも全く同じだ。
しかもどちらかが髪を染めているのか二人とも同じ光沢のある髪色で、髪型もウェーブのかかったアップポニーテールで統一と紛らわしさ全開だ。永居が物凄く鬱陶しそうな顔をしてヘッドフォンを耳に嵌めた。ダメな感じのテンションと声なのだろう。

「ウチらAFS診断受けちゃって、もう契約しちゃってんだよね〜」
「人生は可愛く楽しく美しくがモットーでーす!」
「あ、ちなみにフルーツの髪留めが美杏で〜」
「音符の髪留め使ってるのが美音ね〜?」

 と、天馬が疑問を口にする。

「それ、髪留め取り替えたらどっちか判別つかなくなるんじゃ……」
「あら、私はつきますよ?」
「僕も」
「生徒の小細工を見破るのが教師だ」

 マジか3人もいる、とエデンは思わず目を見張った。においに敏感な八代夜は既に違いを嗅ぎ分け、そして先生方も何らかの方法で見分けているらしい。だが、最後の一人、なんと身内のエイジはどうやって見分けているのだろうか、とエデンは質問する。

「どうやって見分けてるのよ?」
「二人とも仕草や骨格は見分けがつかない。でも脂肪の分布や筋肉の量、毛穴の位置、声紋の違いは微かにある。指紋もちょっと違う」
「うわぁ、舐め回すような観察眼が細かすぎて美音ドン引き……」
「いやいや、美杏はむしろエイジくんへの好奇心が湧き出てきましたよ!……ところで、どっちが太ってる?」
「美杏さん」
「バッサリ言われたぁ〜ッ!?ちくせう、ダイエットしてやる!!」
「胸周りの脂肪が微かに……」
「なんだとうっ!?美杏、この裏切者!!同じバストサイズでいようってあの日の星の下で誓ったのにっ!?」

 双子姉妹、まさかの内紛勃発。
 
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