凍てついた夏2
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かアイドルとかだった。
魔女は年を取らないのでアイドルや歌手で言う『劣化』というものが生涯を通してほとんどない。流石に寿命が近づけばそうでもなかろうが、ある意味有利と言えなくもない。代わりに演者としては永遠に純粋な年上の役が回ってこないという悩みがあるとかなんとかは、この前テレビで見た魔女芸能人の言である。
ところで。
魔女というのは『採掘』――要はファンタジーで言う契約をこなすことでやっと異能と呼べる力を発揮する。そして正式な契約というのは国のルールに則って聖学園等で行われるのが基本だが、ここには一つ例外規定が存在する。
いわゆる『アストラル・フォーカス・シンドローム』によって日常生活に支障を来しているOI体質者の症状を緩和するために魔女と契約を交わす――非常に特例的にだが、人道的見地からこれは認められている。
一応説明しておくと、AFSに陥る人間は極めて少ない。何故なら日本人口におけるOI体質の中でも『現実が歪んで見える』ほどのイマジネーションを持ち合わせる位階に到達するのは一握りしかおらず、トドメとばかりに普通『歪む世界』というのは段階を踏むから普通こうなるまで放置されることがないのだ。正式な聖学園入学を待てない程重篤な人となると、なんと年に片手の指で数える程しかいないという。
その数に含まれない、イメージに耐え切れなかった自殺者も含まれるのではないかという考えたくない問題はさておき、とにかくそれだけAFSの重篤患者というのは少ない。じゃあここで問題になる事と言えば、「誰がこの人の採掘やってパートナーになるの?」という話だ。
これが困りものらしい。
軍属の魔女でパートナーを持ってない人というのは基本的にほぼいないし、もしいても再契約をする魔女は失敗率が高くなっており、能力的に不安定な部分がある魔女が大部分を占めるという。しかも悪い事にAFSの症状が見られる人のイマジネーションは膨大過ぎて、並の魔女や相性的に合わない魔女は問答無用で弾かれて『採掘』が成立しない可能性が高い。
しかもこれ、医療行為とは言いつつがっつり『採掘』を行うため軍属でもなければ見知りもしない人間とパートナーにならなければいけないという途轍もないデメリットが存在する。つまるところ、なり手が少ないのだ。
その末路と言うのが、現状である。
「国選魔女制度ってやっぱ悪法だと思わない?」
「超思う」
とある病院の一室に集まった『国選魔女制度』の被害者一同は、ウンウンと頷いた。
国選魔女制度――それは聖学園入学前の魔女登録者の中からランダムで抽選した人を片っ端からAFS患者にぶつけて『採掘』させ、当たったらラッキーという割かしとんでもない制度である。1人の人権を守るために別の人間の人権打ち消してた
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