暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 16
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仲間が何処で待ち構えているか判らない。

 逃げ場は封じられた。
 人質を取る隙なんか、当然無いだろう。

 (くそ……! あのジジイ、つくづく役に立たねぇな!! あいつらより早く着いていればこんな事にはならなかっ………… ぅん?)
 建物の角でしゃがんでいたオレの目に、ふと地面を細長く照らす二筋の光が映り込む。
 出所は……オレの斜め右上に位置する、開いたままの窓二つ。

 (っ!? 護衛に気付かれた!?)

 慌てて地面に突っ伏して気配を殺すが、
 「……って、いってたから。あ、まいくはそこにいてね! うごいたら めっ! だよ?」
 「うー……わかったよ……」
 (……子供の声?)
 息を潜めるオレの耳に届いたのは、甲高い子供の声と不機嫌そうな子供の声。不機嫌というよりは、ぐずった後の鼻声っぽいか。
 (一人は女、一人は男だな)
 絨毯が敷いてあるのか、足音は殆ど聴こえてこない。だが、落ち着き無いパタパタした気配が窓際に近付こうとしてるのは感じる。

 (…………開いた窓が罠だとしても……現在この場所に居るのは、オレと子供が二人だけ。大人が居る気配は……しない)

 進んでも退いても逃げ場は無く、手が届く範囲には、十歳にもなっていないであろう非力な子供が二人だけ。
 しかも、どうやら女のほうが単独で窓辺に近寄って来てるらしい。
 計算外か不注意か知らないが、これは

 (千載一遇の好機だ!)

 ゆっくりと立ち上がりながら、懐に仕舞い込んでおいた包丁を取り出して鞘代わりの布を取り払い、白刃を煌めかせつつ外側に開いた窓へ静かに身を寄せる。
 子供の手が窓枠に触れたか触れないかの瞬間を見極め……


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