暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 16
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を捕らえる時は静かに。けれど確実に。

 屋内から姿を見られないよう、外壁に背中を貼り付け、窓の周辺は巧みに避けながら静かに素早く移動する。
 と。
 (………………?)

 何故か一階正面右隅二つだけ窓が開いてる。

 (間隔からして同じ部屋の窓だな……明かりは漏れてないし、一室だけ閉め忘れたのか?)
 念の為に二階の窓も確認してみるが、目に見える限り、開いているのは此処だけだ。
 (……なんなんだ?)
 杜撰(ずさん)な警備に、閉じ忘れた窓。
 これはさすがに不自然じゃないか?
 だって、中央教会の権力者第二位が来てるんだぞ? 他の、何でもない日の神父達ならともかく、よりによって世界規模の祭日当日の、国政の中枢にも関わる重要人物の護衛が、こんな穴だらけの状況を看過するものか?
 (本当に、入って来いと言わんばかりの)



 ……………………………………罠……?



 いや、違う!
 そんな筈は無い!
 オレが孤児院に奇襲を掛けると決めたのは、連中が中央教会を発つ直前だ。オレも直ぐにあの場を離れたんだし、連中が計画に勘付く要素なんて何処にも無かった!

 (……落ち着け……、落ち着くんだ、オレ。あいつらは、オレが此処に居る事も、オレがこれから何をしようとしてるのかも知らない。知りようが無いんだ……っ)

 仮に、これが本当に不審者を引っ掛ける為の罠だとしても、連中が想定してる「不審者」は「オレ」じゃあない。
 「オレ」である訳が、ない。

 「……ふぅー……」
 額に噴き出してきた嫌な汗を腕で拭い、激しく暴れる心臓を深呼吸で無理矢理宥め(すか)す。
 そうだ。連中が想定しているであろう不審者は、オレじゃない。
 でも……

 (……正体不明の不審者が現れる事自体は、想定している可能性が高い……!)

 全身から血の気が引く。
 頭が冷え、指先が凍り付き、震える顎が奥歯をカチカチ鳴らす。

 (どうする……? どうするべきだ!?)

 これが正体不明の侵入者を想定した罠なら、連中が「オレ」を知っているかどうかの懸念は全くの無意味だ。
 侵入者が何者であっても、あいつらはただ罠に掛かった獲物を捕まえるなり殺すなりするだけだし、どんな策謀にでも対応できる自信があるからこその手抜きに見えるこの配置……だとしたら。
 もしかしたら孤児院の外、畑の何処かで連中の仲間が包囲網を敷いているのではないか。
 此処に来るまでの間に制止が入らなかったのは、オレが孤児院や連中に対して悪意有る行動を起こすかどうかを見定める為で、つまり……
 
 (……進んでも戻っても逃げ切れない!?)

 屋内へ押し入れば護衛が(こぞ)って狩りに来る。
 敷地外へ逃げ出そうとしても、連中の
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