純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 16
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大丈夫よ。それと、ロールパンは材料の計り方が雑だし、捏ねが全然足りてないわ。焼き加減も、火を通してる間はずっと様子を見てないと。こんなに焦がしてしまったら、材料も食感も勿体ないでしょう? あとは……」
塩味の料理を平らげた直後でも淡々と答えるプリシラに衝撃を受けつつ、心の内だけで密かに激しく動揺する騎士達。
そんな、いかにも「褒めてくださいっ」と言わんばかりの子供達相手に、いくらなんでも正直すぎるのではないか。
「で。今回は突然だからって事情も考慮して、百点満点中……五点!」
(((厳しい??)))
これでは不味いと断言しているも同然だ。
傍で聴いていてもあんまりな評価に、子供達もうなだれてしまった。
ふるふると揺れる肩を見て、これはやはり泣き出してしまうのでは……と身構える騎士達だったが
「……ぃいやったーっ! 五点だって!」
全員、椅子から転げ落ちた。
「すっげー! いきなり二点も増えたぞ!」
「こんな高得点、初めてじゃない??」
「バカだなあ。じじょうのぶん、だろ」
「でもでも! しょうすうてんがないよ! かてんされたときは、いっつも付いてたのに!」
「パンの分かな? 一応膨らんではいたし」
「やりぃ! パン作ったのオレだし、オレの得点だな!」
「はいはい。誰か一人が、じゃなくて、皆で頑張ったからこそでしょう? 調子に乗って点を落としちゃダメよ?」
「「「はーい??」」」
床に両手を突いて呆然とする大人達には目もくれず。
喜びの声を上げてはしゃぐ子供達。
直前のあれは落ち込んでいたのではなく、感動に浸っていたのか。
思いがけず高い点が貰えたから。
(((……百点満点中の、五点で?)))
テーブル上に鎮座する自身の分の料理とプリシラの笑顔と仲間達の真剣な顔を見比べ、騎士達は無言のまま頷き合い、決意を固める。
明日の分は絶対、自分達が作ろう! と。
今晩は到着が夜遅くになると分かっていたから、次期大司教があらかじめ子供達に頼んで、孤児院の買い置きで作ってもらっていたが。
明日の朝以降は元々、神父達の状態に拘らず、自分達の分は自分達で作る予定だった。
運び込んだ荷物の中には、孤児院への補填や差し入れ以外にも、滞在する騎士達用の食料が含まれている。
しかし二階から戻ってきたプリシラの様子からして、神父達の早期回復は見込めないのだろう。となれば、まともな味覚をもって子供達の分の食事を用意できるのは、自分達だけだ。
自分達だけが、悲劇の再発を食い止められる。
ならば護ろう。健康を。
この手で防ごう。塩分の摂り過ぎを。
すべては、アルスエルナ王国(と、自分達の体)の未来の為に。
「さて……今日は
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