第九十二話 堺からその六
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「無論条件はありますが」
「商いのことだな」
「宜しくお願いします」
まさにと言うのだった。
「このことは何としても」
「俺は商売の邪魔をするつもりはない」
毛頭とだ、英雄は使者に強い声で答えた。
「むしろこれまで以上に賑やかに行ってだ」
「そのうえで、ですか」
「儲けて欲しい位だ」
「左様ですか」
「そのうえで堺に銭を収めてもらう」
「税をですね」
「その話もしよう」
堺に一人で行ってというのだ。
「これからな」
「はい、それでは」
「行かせてもらう」
その堺にとだ、こう言ってだった。
英雄は使者と共に彼一人で堺に馬に乗って赴いた、そうしてそこで彼が考える堺そして島全体の治の話をした。
そこでだ、税の話をするとだった。
堺の商人、街を取り仕切る彼等は驚いて言った。
「それだけでいいいのですか」
「むしろ今より安いですが」
「それでいいとは」
「それはまた」
「充分だ、税は四割だ」
これだけでいいというのだ。
「年貢と同じだけにしてある」
「村々の」
「それだけですか」
「そうだ」
彼が村に課している年貢と同じだけだというのだ。
「そうする、これは大坂の街の税と同じだな」
「そうですが」
「堺もですか」
「そうして頂けますか」
「街は同じだ、それだけでだ」
四割の税でというのだ。
「充分だ、ただ傭兵達はだ」
「今後は、ですね」
「貴方の兵となりますね」
「堺の傭兵ではなく」
「そうさせてもらう、兵はだ」
まさにと言うのだった。
「全て俺の下に置く、ただ街はこれまで以上に護る」
「そうして頂けますか」
「この街の守りもですか」
「して頂けます
「当然だ、俺の領地になるのだからな」
それならばというのだ。
「このことはだ」
「左様ですか」
「ではです」
「そのこともお願いします」
堺の商人達は英雄に口々に言った。
「この街もお護り下さい」
「堺の者達も」
「そうして下さい」
「必ずな、ではな」
これでとだ、英雄は言ってだった。
単身堺に乗り込んだうえでこの街も手に入れた、すると堺の近辺の村々の多くが自分達からだった。
英雄達の方に入ってきた、自分から来ない村々も英雄達が降る様に使者を送ると即座にだった。
降ってきた、それでだった。
英雄は大坂城に置いてこう言った。
「無事に堺も手に入ったしな」
「そして周りの村もぜよ」
当季が笑みで応えた。
「どんどんぜよ」
「入ってきているな」
「そうなってるからのう」
「俺の読み通りになっているな」
「堺の富も手に入ってじゃ」
「そしてだ」
周りの村々もというのだ。
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