152部分:百五十二.西大寺静然上人
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百五十二.西大寺静然上人
百五十二.西大寺静然上人
西大寺の静然上人はかなりの高齢であり腰が曲がりその眉も真っ白になっていました。その方が何とも尊い気を発しながらそのうえで宮中にやって来ましたがそれを見た西園寺実衝内大臣殿は何という尊さだ、と羨望の眼差しを向けました。ですがそれを見た日野資朝殿は西園寺殿に対してそれはただ老人になってよぼよぼになっているだけです、と言いました。
それから数日後ですが資朝殿は西園寺殿の御前に毛が抜けてよれよれになってしまってそのうえ醜く年老いてしまった犬を連れて来てそのうえで大変尊い姿ですと西園寺殿に対して贈りました。
これをどう考えるかといいますと二つあるでしょう。西園寺殿は西大寺の静然上人殿のことがわかっていましたが資朝殿はわかっていなかった。そしてもう一つは資朝殿こそが物事の本質をわかっていた、老人というだけであると。ですが気配を察した西園寺殿が正しいのではないでしょうか。資朝殿はそれを見抜いていなかった、そう思うのですが実際のところはどちらが正しいのかはっきりとはわかりません。しかし私見としましては西園寺殿が正しいように思えます。見えるものが見える人だったのでしょう。だからこそ西園寺殿は上人を尊いと言われたのです。そうしたならば資朝殿の言葉も行いも実に物事をわかっていないものです。真実はどちらなのかわからないにしてもであります。
西大寺静然上人 完
2009・10・13
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