第三十話 九州攻めに向けてその十二
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「大秦であるが」
「あの国を攻めた時ですな」
「あと仏蘭西か」
この国のこともというのだ。
「仏蘭西の南の方の十字軍もな」
「あまりにも酷いですか」
「同じ耶蘇教なのに攻めてじゃ」
そしてというのだ。
「略奪、殺戮の限りを尽くすなぞ」
「神の為と称して」
「それは魔道じゃ、本朝の長い歴史でもじゃ」
それこそというのだ。
「そんな話はないわ」
「それも一切」
「仏蘭西の話もじゃ、神があの世で見分けるか」
信長はその顔に怒りすら見せて利休に語った。
「その様な言葉はな」
「坊主としてですな」
「出してはならぬ、わしも一向宗との戦では民を殺すことを覚悟したが」
「あくまで一向宗のみですな」
「そうじゃ、向かって来る者達だけでじゃ」
それでというのだ。
「何も動きのない街や村にはな」
「何もされませんでしたな」
「そうじゃ、それでじゃ」
そのことはというのだ。
「どの街も村も。歯向かう者なぞおらぬのにじゃ」
「攻めて殺し尽くす」
「それも顔の皮を剥いだり目をくり抜くなぞな」
十字軍の惨たらしさについても言うのだった。
「それが人の為すことか」
「そう思われることがです」
「当然じゃな」
「はい、私もです」
「あの書を読んでじゃな」
「これが人の行いかと」
利休もまた曇った顔で述べた。
「思いました」
「そうであるな」
「はい、あの様な所業を日本でさせては」
「ならぬな」
「何があろうとも、どうもあの者達はです」
「十字軍だけでないな」
「今現在も新たな領地を手に入れ」
そうしてというのだ。
「耶蘇教に改宗せねば殺し改宗しても」
「奴婢として使うか」
「はい、思う存分です」
まさにというのだ。
「死ぬまで使い続けます」
「そうしておるか」
「その様です」
「答えは一つじゃ、やはりじゃ」
「耶蘇教については」
「あの者達が信じるのはよい」
そのことはだ、信長もよしとした。
「しかしな」
「それでもですな」
「本朝に広めることは許さぬ」
決してとだ、信長は利休に述べた。
「何があってもな」
「それが殿のお考えですな」
「そのことは決まった、南蛮の者達の行き来もな」
「制限しますな」
「交易はよい」
これ自体はというのだ。
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